90歳のいまもなお活躍中のボテロ

展示風景より

第3章は「信仰の世界」。1930年代から1940年代、ボテロが若い時を過ごした故郷のメデジンでは、聖職者がとても高いステータスにあったという。その世界をユーモアと風刺を交えて描いている。

展示風景より

1956年、23歳のボテロはメキシコ芸術と出会い、自分自身に眼差しを向けるようになっていく。第4章「ラテンアメリカの世界」では、ボテロ自身のルーツであるラテンアメリカを描いた作品を紹介する。

展示風景より

第5章は「サーカス」。2006年、ボテロは毎年1ヶ月ほど滞在するメキシコ南部の都市シワタネホでサーカスと出会い、その様子を描き始める。彼の描くサーカスの情景は人物や動物は華やかなダイナミックな動きをしているにもかかわらず、画面からは静けさや憂いも感じられる独特な世界になっている点が興味深い。

フェルナンド・ボテロ《象》 2007年

そして、最終章となる第6章「変容する絵画」は、ボテロの人気シリーズである名画へのオマージュ作品が並ぶ。

彼はベラスケス、ピエロ・デラ・フランチェスカ、ヤン・ファン・エイク、アングルなど、さまざまな名画を自らの作風で描いてきた。同じ構図、同じ色合いで描いた作品であるにもかかわらず、どの作品もボテロそのもの。

また、最新作であり世界初公開となる《モナ・リザの横顔》も公開される。

フェルナンド・ボテロ《ピエロ・デラ・フランチェスカにならって》1998年

もりもりとした人物、動物、ものを描き、90歳のいまもなお活躍中のボテロ。彼のふくよかな魔法をたっぷりと楽しんでみよう。

開催情報

『ボテロ展 ふくよかな魔法』
4月29日(金)~7月3日(日)、Bunkamuraザ・ミュージアムにて開催
※会期中すべての土日祝はオンラインによる入館日時予約が必要