グループになったときにまた強くなれたら
――この作品を通して学びを得たことがあれば教えてもらえますか。
高橋:僕は前回、狩山監督とご一緒させてもらったときが、ほぼ1からの状態のお芝居だったので、すべてを狩山監督に教わったようなものだったんです。
そのときによく「緊張しているときは跳べ」って、その場で声を出しながらジャンプするように言われていて。今回の撮影中も緊張しているな、と思ったときはやっていました。身体を使うことで緊張がほぐれるんですよね。
実は前回はあまりよくわかっていなかったんですけど、今回やってみて緊張がほぐれるのを実感しました。
――演技での緊張と、ライブでの緊張は違うものなのですか。
高橋:全く違います。慣れているというのもあるんですけど、何千人の前でライブをするよりも、相手と向き合って話すお芝居の方が緊張します。
というか、ライブはもう(ジャニーズ事務所に入所した)当初からずっとやってきているものなので、緊張しているかもわからないというか(笑)。自分でも強みに感じているところもあると思うんですけど、お芝居は全然経験が少ないので。
――芦田さんも何か学びを得たことはありますか。
芦田:今考えると、自分の中にいろんなことを思い出させてくれた作品だったと思います。それこそ高橋さんが役と向き合う姿勢から、うまく言葉で表現ができないんですけど、役と真摯に向き合って、自分がその役と対峙していく感覚であったりとか。
あとはお話を通して優しくなれていない自分に気づいて、優しくなろう、と思えたり。自分のことで精一杯になってしまうとそういうことって忘れがちじゃないですか。
だけど雪さんのような温かい人に出会えると、自分も優しい気持ちになれて、私も誰かにとってそんな存在になりたいって思える。そんな温かい気持ちや、真っ直ぐに突き進む気持ちを思い出させてくれました。
――うららは好きな漫画を通して人生が動き出します。お二人は何かを好きなったことで、何かが変わった、という経験はありますか。
高橋:僕の中で今、ぱっと出てきたのはやはりジャニーズでの活動なんですけど。最初の頃は親や事務所の方に言われるままにやっていたのが、段々と楽しいって気づいてくると見えるものが違うなって感じてきて。
誰もが経験できるようなことではないことを経験させてもらえている。それまでの僕の人生の中ではあり得なかったことですから。そう考えると1日1日、1回1回のお仕事がすごく大事だという考えに変わっていきました。
――そう思えるようになったきっけかのようなものがあったのですか。
高橋:周りの反応ですかね。「見たよ」とか、「今日も出てたね」とかって言われると、やっぱり頑張る力にはなりましたね。1、2年目はホントにチヤホヤされるだけで嬉しかった(笑)。単純な理由でしたね。
――そこからCDデビューも果たして、また何か変わってきていますか。
高橋:デビューをしたことでステップが変わったと思います。Jr.のときにはできなかった経験、体験もこれからどんどん出てくると思います。今回の映画のお仕事も、次にグループで仕事をするときに、何かの力に変わっていたらいいな、と。
個々で力を伸ばして、グループになったときにまた強くなれたらいいなという感覚で、今は個人の仕事を頑張っています。
――芦田さんも何かそのような経験はありますか。
芦田:私は高校生になって世界史を学び始めたら、いろんな世界が繋がっていくのがすごく面白くてハマってしまって。そしたら同じようにハマった友だちがたまたまクラスにいて、すごく仲良くなれたんです。
それから世界史を好きになったことで西洋絵画とか、今まで全く目を向けられていなかった分野にも目が向くようにもなって。好きなもので世界が広がることってあるんだなって、実感していて。好きなことで変われるって素敵なことだなって思いました。
――世界史の何にハマったんですか。
芦田:一つの国について深く学ぶのも楽しいんですけど、相関関係が見えてくるとさらに面白くて。この国でこれがこうなったから、こうなったんだ、とか、こことここがやり取りをしていたから、こうなんだね、とか。すいません、めっちゃ硬い話をしちゃって(笑)。
高橋:まだ高校生ですよね(笑)。
芦田:(照笑)。
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演じた芦田さん自身が「私ももっと好きなものを好きって言おうとか、自分で自分のことをもっと認めてあげてもいいのかなとか、背中を押してもらえました」と語る本作。観た人の心にそっと寄り添ってくれるような作品となっています。
またうららと紡の関係も、恋愛ではないものの、お互いを想い合う気持ちが、観ていてとても微笑ましく映ります。ぜひ劇場で、誰かを少しだけ大切に想うことで生まれる温かさを感じてください。
作品紹介
映画『メタモルフォーゼの縁側』
2022年6月17日(金)全国ロードショー