ピアノ協奏曲を意識したのは「のだめ」

角野隼斗 撮影/吉澤健太

――今回、BBC Proms JAPANのステージではピアノコンチェルト(ピアノ協奏曲)の形でオーケストラとの共演が予定されています(曲目は現在調整中)。ご自分がピアノコンチェルトというジャンルについて最初に意識したのはいつごろですか?

漫画の『のだめカンタービレ』に出てきた、ラフマニノフのピアノコンチェルトですかね。小学生5年ぐらいの頃。漫画が家にあって、千秋先輩カッケー…と思いながら、テレビを見てた記憶があります。『ラプソディ・イン・ブルー』を知ったのもそのころですね。あっ…それも、『のだめ』? 鍵盤ハーモニカを使ってるのも、『のだめ』の影響なのかな。えっ、これまで意識したことなかったな…。

――ピアノコンチェルトは大好きなジャンルだそうですね。

ピアノコンチェルトを演奏するときは、人生で最も楽しい瞬間の一つです。オーケストラの音を特等席で聴ける喜びと、スケールの大きい音楽を一緒に創り上げる高揚感は何事にも変えがたいものがあります。

――コンチェルトをオーケストラと実際に演奏したのは、いつ頃からですか?

大学2年のとき、ショパンのピアノ協奏曲第1番を弾いて「ピティナ・ピアノコンペティション」(全日本ピアノ指導者協会主催のコンクール)のコンチェルト部門に挑戦したんです。

そのときの入賞者コンサートでオーケストラと共演したのが、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番1楽章でした。その数ヶ月後に、ルーマニアでラフマニノフの2番全楽章を弾く機会があり、それが初めてコンチェルトを全楽章弾いた経験です。

その次にオーケストラと共演したのは「ピティナ・ピアノコンペティション」の特級ファイナル(全国大会最終審査)ですね。今年はラヴェルのピアノ協奏曲 ト長調や、バルトークの3番もドイツで弾いたし、ガーシュウィンの『へ調のコンチェルト』や『ラプソディ・イン・ブルー』も弾いて、「コンチェルトイヤー」状態でした。ありがたいと思いながら、必死に取り組んできました。

ラヴェルってほとんどジャズだから、自分がやってきたいろいろなことが生かせるんです。バルトークに挑戦できたのも嬉しかった。トーマス・アデス(英国の現代作曲家)もそういうところがあって、現代的なビートを感じることがある。

ジャズやロックで培ったビート感をクラシックの作品に活かせるか、ということは僕の中の一つの大きなテーマなので、そういうところに取り組めるのはすごく嬉しいし、積極的にやっていきたいと思っています。

――オーケストラのスコアも読み込んで準備されるのですか?

そうですね。ジャズピアニストの小曽根真さんが、ピアノコンチェルトを準備するときにオーケストラの全パートをパソコンで打ち込んで音源を作っているとおっしゃっていて、僕も「やらなきゃだめだ」と思い、ラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」は、全パートを打ち込みました。オーケストレーションも学びたいと思うので、スコアの部分は丹念に読み込んでいます。