“父親役”については入江監督ともしっかり話し合った
――娘を連れて鵜頭川村を訪れる岩森ですが、初めてではないにせよ、松田さんに対して“父親役”というイメージがあまりない視聴者も多いかと思います。演じるにあたって意識したことはありましたか?
今回、岩森は娘と一緒に奥さんを捜しに行くという設定なんですけど、脚本には娘との会話がほとんどないんですよ。だからそこがまず異様で。岩森と娘がどういう家族なのか分からないところがあって。“父親”と“娘”という、最低限の肩書きのような関係性でしかないなって思って。だからこそ、ふたりの佇まいからも岩森の人物像が見えてくるところがあったんじゃないかと思います。
娘が岩森にどういった気持ちを持っているのかが見えたときに岩森が抱える“問題”の結末に繋がってくるのかもしれない。最終話を撮ったときに、「そういうことか」って思って。ようやくエンディングを迎えられてホッとしたんですよね。
――撮影は長野県で行なわれたそうですが、現地に実際に足を運んでみていかがでしたか?
物語の序盤で自然災害で村が孤立してしまうので。毎シーン、飛ばされたゴミや木で汚しをかけなくちゃいけなくて(苦笑)。美術スタッフも大変だったんですけど、変わりゆく景色を見て胸が苦しくなりましたね。現地に住まれている方も驚いてしまい、蓮佛さんが(住民に)「すいません、終わったらキレイにします!」って声をかけてくれてましたね(笑)。
――あらためて本作の見どころや見てもらいたいポイントについて教えてください。
ひとつの事件を解決しようとするとまた新たな事件に巻き込まれてしまう。抜け出すことのできないループを楽しんでもらえるんじゃないかと思います。岩森が奥さんを捜すために迷い込んでしまった鵜頭川村は、どこか異様な雰囲気で岩森の抱えてる闇を浮き彫りにしてくれます。ぜひその結末をご覧ください。