伸びている俳優には哀愁と陰がある

左から三浦友和、斎藤工、西島秀俊 撮影/奥田耕平

――映画に出てくる男たちからは、みんな色気が匂い立っていました。みなさんは、どのキャラクターに色気を感じましたか。

斎藤 みなさんそうですよね。モロ(師岡)さんとかすごく色っぽかったし。

三浦 自分は抜きにして、みなさん、本当に色気がありますよね。

西島 いや、友和さんこそまさに色気のある男じゃないですか。何度かご一緒してますけど、アート映画も、バジェットの低い映画でも大きな映画でも、あらゆるジャンルの映画に軽やかに出てらっしゃる。友和さんの軽やかさというのは理想形というか。難しいことだとわかっているからこそ、将来自分がこういうふうにいられたらいいなという、ひとつの憧れです。

三浦 本当? うれしいな。

西島 もちろんそれは工くんも同じで。工くんの演じた萩原は、何の理由もなく破滅に向かっている男で。なぜこの人がこんなに虚無的に生きているのかを説得力を持って肉体化するのはすごく難しいこと。それを実際に体を持って存在している姿に色気を感じましたね。

三浦 俳優の仕事をやってると、色気は必須じゃないですかね。でもそれって自分で出せるものではない。それこそ、その人がもとから持ってるものなんですよね。あるいは、どなたかの作品で引き出されるのかはわかりませんけど。いい俳優は色気があるなと思います。

斎藤工 撮影/奥田耕平

――男の色気とは、どういうものだと思いますか。

三浦 僕は哀愁と陰のある人に色気を感じますね。若い俳優さんを見ていても、なんでこの子が今こんなに注目されているのかなって気になって作品なり写真を見てみると、伸びている人は哀愁と陰がある。そこに人は惹きつけられるんじゃないですか。

斎藤 僕が感じる色気は、無自覚さにあると思うんですね。何か意識してではなく、本人さえも無作為な瞬間に、その人柄とともに漏れ出るのが色気。むしろ意識した時点で消えてしまうものが色気なんだと今回の現場でも思いました。

西島 一概には言えないですけど、いろんな困難な状況に立ち向かっている人に色気を感じます。現状よりも良い方向に向かって進もうとする。その意志からこぼれるエネルギーが男の色気につながっているのかなと、いろんな人たちを見ていて感じますね。

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作品情報

映画『グッバイ・クルエル・ワールド』
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