ふと見える明るい表情は浩一そのもの

撮影/小嶋文子

――それぞれのキャラクターを演じる上で意識していたことはありますか。

小宮:満と浩一の信頼関係や阿吽の呼吸のようなものは、自然と出せるようになりたいと思っていました。なので想良ちゃんとコミュニケーションを取ることは心がけていました。

撮影期間が1ヶ月ぐらいで、その間、本当に毎日のようにずっと一緒にいたので、自然と(コミュニケーションは)できていたところもあったんですけど。それに撮影に入る前にも何回も本読みやリハーサルを重ねていたので、クランクインする頃には浩一とみっちゃん(満)との関係性はできていたんじゃないかと思います。

自分自身と浩一とでは性格的に似ていないところがたくさんあって。人に対して積極的に話しかけるとか、いわゆる“陽キャ”みたいな部分は、僕が持っていないところだったんです。

僕は仲良くなってからでないとなかなか素が出せない方なので、そこは浩一を見習って、他の共演者の方にも自分から話しかけるように意識していました。小宮璃央を浩一に寄せていくというか。浩一と一心同体になってから演じたいと思っていたので。

――実際の小宮さんは人見知りなんですか。

小宮:仲良くなるまでに時間はかかります(苦笑)。お仕事で、スタッフの方とかであれば大丈夫なんですけど、共演者の方となると1日で慣れるのは無理ですね。

撮影/小嶋文子

――井上さんとは?

小宮:でもさっきも言ったように、狭く深くと言うか、短い期間でしたけど1日12時間以上一緒にいるみたいな感じがずっと続いていたので、本当に自然と仲良くなっていました。出会って1週間ぐらいから徐々に敬語も抜けていってました。

――井上さんは満を演じる上で意識していたことはありますか。

井上:満は思っていることを人に話そうとはしない、社交的ではないキャラクターなんですけど、自分の中にすごく強くて硬い意思を持っているんですね。なのでそういう面を見せるために、監督とも話し合いながら姿勢を猫背にしてみたり、普段はしないような目の使い方をしたりしました。

――具体的にはどんな目の使い方ですか。

井上:睨みつけるというか、下から上を見るようなキリっとした目つきとか。普段はそういう目つきで人を見たりはしないので(笑)。鋭い冷たい目つきを監督と一緒に考えながらやってみました。

撮影/小嶋文子

――井上さんから見て、浩一と小宮さんの共通点はありましたか。

井上:璃央は似てないところが多いって言いましたけど、僕からするとわりと似てるところがあるように思えたんです。本人とは捉え方や感じ方も違うからだとも思うんですけど。

この前、この作品とは関係ない現場で仕事が一緒になったんです。その場にはたくさん人がいたんですけど、そこでも璃央は上手にコミュニケーションを取っているように見えたから。

知ってる人が多かったのかもしれないけど、そういうときにふと見える明るい表情は浩一そのものに見えました。それはこの現場にいる時も思っていて、撮影の合間に何気ないことをしゃべったりしているときにも「浩一っぽいな」と思うこともありました。

――小宮さんから見て、満と井上さんの共通点を感じるところは?

小宮:想良ちゃんは役を自分に憑依させるのが上手だなと感じていて。やっている間は、プライベートでも4割ぐらいみっちゃんになっていた気がします。撮影期間中は休憩中でもみっちゃんというか、想良ちゃんとみっちゃんが混じってるような印象でした。

でもそのさっき言った別のお仕事で会ったときは、明るく他の人にも話しかけていたり、フレンドリーで。みっちゃんとは違うなと。けど、僕に「敬語やめていいよ」って言ってくれたり、そういう優しい面はみっちゃんをやっているときからありました。