麦さんだけの瞬発力をビシビシ感じていました
――そう感じた瞬間が何かしらあったんでしょうか。
門脇 一緒にお芝居をしていたらわかります。ご自身で映画も撮られているからか、考え方がつくり手側なんですよね。私とはまったく違う考えでこのシーンに取り組んでいるんだろうなという感じがすごくしたので、日々面白かったです。
のん 私は麦さんと演技してみたいと思っていたから、それが叶ってうれしかったです。麦さんのお芝居は瞬発力が面白くて。役柄もあると思うんですけど、お芝居が跳ねてるんです。そこに自分も乗っかれたときにすごく気持ち良くて、楽しかったです。
門脇 私、あそこのシーン好きだったな。のんちゃんが海辺を歩いていて、私が後から自転車でやって来て「イルカ、やっちゃう?」って声をかけるシーン。あそこは長回しで撮ったですけど、やっぱり長回しって生まれてくるグルーヴ感みたいなものがあって。それが、のんちゃんとやっていると、すごく心地よかったんです。もしかしたら音楽をやっているからっていうのもあるんですかね。
のん そうなんですかね。
門脇 音の間合いとかがとても気持ちいい方だなって。
のん うれしい。めちゃくちゃうれしいですね。そうなんだあ…(と、喜びを噛みしめる)。
――のんさんも、門脇さんの好きなシーンはありますか。
のん 私もそのシーンが好きですし、あとは門脇さんと高良さんが最初に2人で話してるシーンがすごく好きです。一瞬で2人の関係性が見えるんですよね。
門脇 あれ、クランクインだった気がする。
のん そうなんですか。めちゃくちゃ素敵なシーンだなって。仲の良さがリアルに垣間見えるというか。イチャイチャしてるふうなんだけど、かなえのちょっとツンとしてるキャラクターもよく見えて、めっちゃグッと来ました。
門脇 (微笑んで)うれしい。
のん かなえにこういう可愛いところがあったんだって。私の出ていないシーンだから、あとで完成した映画を観たときに、すごく温かい気持ちになりました。
門脇 かなえって普段可愛げがあまりない子だから、可愛いシーンは可愛くしておかないとねって(笑)。
のん 一緒のシーンでも、麦さんだけの瞬発力をビシビシ感じていたので、こういうかたちでお芝居をやれるのが本当にうれしかったです。