遊び心満載のドラマ『ATARU』はほかにもお約束アイテムがいっぱい!せっかくなので、プレゼントキャンペーン以外のキーワードも振り返ってみたい。

チョロ/デグーのぬいぐるみ

 

チョコザイが事件現場の周辺を歩くときに手にするネズミ系小動物のマスコット、チョロ。彼は尻尾を持ち、鳴き声を真似てチューチュー言いながらクルクル回すのが癖。

実は仲蒲田に住んでいた幼少期に本物のデグーをペットとして飼っていたが、そのときも同じように持った尻尾が切れたため、弟の介(タスク)が虐待されることを恐れた実母・ゆり子(原日出子)に見捨てられるという忌まわしい過去が(「CASE09」)。ぬいぐるみはチョコザイを厄介祓いしたことに罪悪感を感じている母親の手製。「CASE08」で切れた尻尾が紛失し、それがチョコザイの過去がやがて明らかになることの伏線になっている。

ドラマ版の最終話(「LAST CASE/CASE11」)では、日本を発つチョコザイがいったん戻ってきて舞子に手渡したのが印象的だった。『劇場版ATARU-THE FIRST LOVE & THE LAST KILL-』でも重要な小道具として登場。

コロコロコロッケ

 

近所の行列ができる店で売られている舞子の大好物。「コロコロコロッケより美味いものはこの世にない!」とまで言い切り、蛯名家には「コロコロコロッケ」の日まであるが、なぜか毎回タイミングが悪くて食べそびれしてまう。しかも、沢(北村一輝)が売り切れた「コロコロコロッケ」の代わりに買ってきた「ボンボンメンチ」の方が家族には好評で、彼女はそれも気に入らない。「CASE10」ではラリー井上が入院中のチョコザイに「コロコロコロッケPREMIUM」を買ってきて、その紙袋の文字から「コロコロコロッケ」が30年間愛され続けている日本の名物であることが分かる。

 

『シンクロナイズドスイミング刑事』

チョコザイが渡米した1年後から24年間にわたり、毎日午後3時になると必ず観ている海外ミステリーチャンネルの30分のドラマ。原題は『The detective of Synchronizedswimmer』で、現在シーズン7。シンクロナイズドスイミングの選手だったニューヨーク市警のナンシー捜査官が、毎話競技用の水着姿で、ノーズグリップなどを武器に犯人を追いつめていく。ユニークな決めゼリフも楽しいが、「CASE08」でその警察監修がラリー井上であることが発覚。実は彼が意図的に忘れさせたチョコザイの記憶の一部が浮かび上がらないよう、このドラマの映像を定期的に観させて深く沈める目的があったのだ。FBIに拉致された警視庁の照会センター職員・犬飼甲子郎(中村靖日)が、一時期、携帯でこの番組を欠かさず観ていたのも同様の理由。

 

シャボン玉

チョコザイが「mission accepted」と言って捜査を始めるときと「mission accomplished」と言って捜査を終了するとき、あるいは事件に関係する何かを察知したときに、彼の視界にはシャボン玉が現れ、開始時には世界が歪んだまま静止ししたような感じに。終了時には次々に割れ、チョコザイの目にいつも一筋の涙がこぼれる。実は子供のころから気持ちが安らぐシャボン玉が好きで、そのことを知っている当時の友だちと遠足で一緒にやる約束をしていたが、その夢はかなわなかった(「CASE10」)。ちなみに、『劇場版ATARU-THE FIRST LOVE & THE LAST KILL-』にも印象的な形で登場。

 

おにぎり

日本にいたころ、つまり子供のころのチョコザイの好物。これにはシャボン玉と同じ、小学生のときの哀しいエピソードが(「CASE09」)。チョコザイの特殊な能力が混乱を招くことを恐れた当時の担任教師が、楽しみにしていた遠足の直前に参加の辞退を促してきたのだ。そんなチョコザイを憐れに思った母・ゆり子が涙を流しながらおにぎりを握り、それから渡米までのチョコザイの夕食はおにぎりになった。だから母親の作ったもの限定で、コンビニのおにぎりは食べない(「CASE02」)。アップデートすればほかのものは食べられるようになるが、おにぎりだけはアップデートしても母親の作ったもの以外は口にしない(「CASE06」)。当然、舞子が握った不格好で大きさもバラバラのおにぎりには見向きもしない(「LAST CASE/CASE11)。病室で、母親が久しぶりに作ってくれたおにぎりを美味しそうに食べている姿も印象的だった(「CASE10)。

 

白いユリ

チョコザイは日本で滞在していた舞子の父・達夫が経営するアパート「マリーコーポ」の201号室でも、入院していた病院でも白いユリを飾り、決して切らすことはなかった。しかも、時折ぼんやり眺め、愛おしそうに触ることも。それは、アメリカでも25年間自主的に続けられていたATARUの数少ない習慣。「ユリは1本の茎に幾つもの花を咲かせるから、4つの花をつけたユリを両親と在(アタル/本名)、介の4人だと思って愛しなさい」いうフラワーセラピーの影響(「CASE09」)と思われるが、チョコザイはユリを飾ることで家族と一緒にいたのだろう。『劇場版ATARU-THE FIRST LOVE & THE LAST KILL-』でも、ラストでチョコザイの気持ちを代弁するドラマチックな形に変容して登場するから見逃さないように!

そして『劇場版ATARU-THE FIRST LOVE & THE LAST KILL-』はどうなる?

 

最後に、『劇場版ATARU-THE FIRST LOVE & THE LAST KILL-』の見どころもちょっとだけ紹介しておこう。この劇場版はSPドラマ『ATARU スペシャル~ニューヨークからの挑戦状!!~』から繋がるストーリー。


警視庁の管轄内、そしてチョコザイとラリーが所属するニューヨークFBI組織で爆破事件が発生し、警視庁は犯罪に使われた「ウィザード」というコンピューターウィルスを操る謎の人物を追う。その捜査線上にやがてドラマスペシャルの第2部に登場し、「ATARU、あなただって犯罪者になれる」という不穏なメッセージを残して日本を去ったチョコザイの旧友アレッサンドロ・カロリナ・マドカ(堀北真希)が浮かび上がるのだ。黒ずくめのコスチュームで首から十字架のネックレスを下げ、歯にも十字架の飾りがついた銀色のグリルを装着した彼女は、チョコザイと同じサヴァン症候群に起因した天才的な能力を発揮する日系ブラジル人の国際的犯罪者。

映画はそんな彼女の野望を阻止ししようとするチョコザイ、沢、舞子の活躍を描きながら、1996年6月6日の「十字架殺人事件」発生の日に出会い、2000年までFBIの特別プロジェクト「SPB(サヴァン・プログラム・ブランチ)」で共に訓練を受けたチョコザイとマドカの過去を紐解いていく。

そこで初めて明かされるチョコザイの秘密とマドカとの濃密な関係……さらに東京からラスベガス、そしてロサンゼルスの「ルート66」へと舞台をワールドワイドに変えて突き進む映画のラストでは、衝撃的なシチュエーションの中、チョコザイがこれまで見せたことの感情を露にする、シリーズ最大のクライマックスを用意されていて見逃せない。

体感温度実に50度の猛暑の中繰り広げられる緊迫した芝居から最後の最後まで目が離せないが、細部にはシリーズをずっと観てきた人なら思わずニヤリとしてしまう小道具や思いがけない登場人物が仕込まれているからそちらも要チェック! ドラマの興奮をそのままに、『ATARU』のグランド・フィナーレを見届けようではないか。
 
 『劇場版ATARU-THE FIRST LOVE & THE LAST KILL-』9月14日(土)より、全国公開[http://www.ataru-eiga.com/]

Denny's☓劇場版「ATARU」キャンペーン開催!

ファミリーレストラン、デニーズでは8月27日(火)~9月30日(月)まで『劇場版ATARU-THE FIRST LOVE & THE LAST KILL-』の公開にあわせ、キャンペーンを実施!

 詳細はコチラ! 「http://www.dennys.jp/dny/campaign/campaign2.html」

映画ライター。独自の輝きを放つ新進の女優と新しい才能を発見することに至福の喜びを感じている。キネマ旬報、日本映画magazine、T.東京ウォーカーなどで執筆。休みの日は温泉(特に秘湯)や銭湯、安くて美味しいレストラン、酒場を求めて旅に出ることが多い。店主やシェフと話すのも最近は楽しみ。