『ヴァロットンー黒と白』三菱一号館美術館

会期:2022年10月29日(土)〜2023年1月29日(日)
※月曜日、12月31日(土)、1月1日(日) は休館(1月2日(月)、1月9日(月)、1月23日(月)は開館)

フェリックス・ヴァロットン《お金(アンティミテⅤ)》1898 年 三菱一号館美術館

丸の内の三菱一号館美術館で開催されているのは、19世紀末のパリで活躍した画家フェリックス・ヴァロットンの木版画に焦点をあてた展覧会。約180点に及ぶ世界有数のヴァロットン版画のコレクションを誇り、2014年に日本で初めてヴァロットンの回顧展を開催した同館ならではの企画だ。

ナビ派の画家としても知られるヴァロットンだが、彼が一世を風靡したのは当時の社会の暗部や群衆の姿を皮肉やユーモアたっぷりに描いた木版画だった。ボナールやドニなど同時代の画家たちが色鮮やかなリトグラフ(石版画)を手掛けたのに対し、ヴァロットンは黒一色の木版画にこだわり、卓越したデザインセンスで色鮮やかなパリの風景をモノクロームの世界に描き出していったのだ。

同展では、希少性の高い連作〈アンティミテ〉〈これが戦争だ!〉の揃いも含む同館のコレクションを一挙公開し、ヴァロットンの画業を展観。さらにナビ派の画家たちやロートレックの版画作品も合わせて展示することで、ヴァロットンの版画作品の独自性を浮かび上がらせていく。

『マリー・クワント展』 Bunkamuraザ・ミュージアム

会期:2022年11月26日(土)~2023年1月29日(日)
※1月1日(日) は休館

《マリー・クワントと、ヘアスタイリングを担当していたヴィダル・サスーン》 1964年 (C)Ronald Dumont/Daily Express/Hulton Archive/Getty Images

2022年に92歳となり、今もなおイギリスで最も親しまれるファッションデザイナーの一人、マリー・クワント。若い女性のための革新的なファッションを打ち出し、1960年代イギリス発の若者文化「スウィンギング・ロンドン」を牽引した、その活動の軌跡を紹介する展覧会が渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムで開催中だ。

1955年、25歳でブティック「バザー」を開店。自らが着たいと思うアイテムをデザインして若者たちから圧倒的な支持を得たマリー・クワント。1960年代には、ミニスカートやタイツの普及に貢献。特にミニスカートは、ファッションとして広く世界中に受け入れられ、ロンドンの若者文化と女性解放の象徴ともなった。

この展覧会では、ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館が所蔵する約100点の衣服、小物、写真資料、映像などを一堂に展示。1950年代から70年代にかけてのマリー・クワントの業績と、時代を切り開いた起業家としての歩みを時系列で紹介していく。

『ピカソ 青の時代を超えて』 ポーラ美術館

会期:2022年9月17日(土)~2023年1月15日(日)
※会期中無休

『ピカソ 青の時代を超えて』展 展示風景(I. 青の時代 ―はじまりの絵画、 塗り重ねられた軌跡)

箱根のポーラ美術館は年末年始も休まず開館している。2023年1月15日(日) まで開催されているのは、『ピカソ 青の時代を超えて』。20世紀を代表する芸術家、パブロ・ピカソの原点である「青の時代」から晩年までの画業を展観する展覧会だ。

ピカソは20歳から23歳の頃、青を主調色に貧しい人々の姿を描き、生や死、貧困といったテーマに向き合った。「青の時代」と呼ばれるこの時期は、自身も生活に困窮していたため、制作された絵画の多くは、同じカンバスに何度も書き直しがされている。

同展では、ピカソが初めてオリジナリティを確立した「青の時代」を画業の原点として捉え、さらに「青の時代」を超えた晩年までを国内外の選りすぐりの名作約70 点で展観。

さらに「青の時代」の最重要作である《浜辺の母子像》などの作品の光学調査により新たに判明した塗り重ねのプロセスや下層の分析結果を映像で紹介する“青の時代ラボ”や、映画『ミステリアス・ピカソ 天才の秘密』(1956年公開)より《ラ・ガループの海水浴場》の制作場面を上映するコーナーもある。

『若冲と一村 ―時を越えてつながる―』 岡田美術館

会期:2022年12月25日(日)~2023年6月4日(日)
※12月31日(土)、1月1日(日) は休館

『若冲と一村 ―時を越えてつながる―』

2023年10月に開館10周年を迎える箱根の岡田美術館では、これを記念し、これまでの展覧会で特に人気の高かった画家4人に焦点をあて、ふたりずつ紹介する2部制の展覧会が開催される。その第1部として12月25日(日) より『若冲と一村 ―時を越えてつながるー』が開幕した。

活躍した時代は異なるものの、写生を徹底したことや、あでやかな彩色、画面に行き渡る緊張感など、作風において似通う点が認められる若冲と一村。その類似性から若冲研究の第一人者である同館館長の小林忠氏は一村を“昭和の若冲”と称しているという。

同展では、若冲が精力的に描いた30代の終わり頃から40代の着色画と、奄美大島在住時代に岩絵具で描かれた一村の代表作、それぞれの墨絵、同じ種類の鳥を描いた絵など、2人の絵をさまざまに組み合わせて展示。さらにそれぞれの同時代の画家たちの作品や、伝統的な花鳥画の屏風絵などを併せ約40件の多彩な作品が紹介される。