メンバーは『honey』を観た?

――ところで、メンバーは『honey』を観たんですか?

「髙橋海人だけ観ました。試写のとき、最初、 僕は海人の隣に座っていたんですけど、恥ずかしかったから、 映画が始まる直前に前の席に移動したんですよ(笑)。

でも、 海人は観て『よかった~』って。『 僕がいままでに観た少女漫画が原作の映画の中で、1位2位を争う ぐらいよかったんじゃない?』 みたいなことをなぜか海人にドヤ顔で言われたんです(笑)」

――少女漫画好きの彼も誇らしかったんでしょうね(笑)。

「そうですね。海人が言うなら正解なのかな? そこはよく分からないけど、 僕も不安に思いながら観に行ったので、海人が泣きながら『 よかった』って言ってくれたときはシンプルに嬉しかったです」

――平野さん自身は、映像でのお芝居を久しぶりにやってみて、 現場で感じたことや改めて思ったことはありますか?

「そうですね。舞台は毎日同じことを1~2ヶ月間の長期にわたってやるわけですけど、僕、飽き性なので、 同じことを繰り返すのが苦手なんですよ。

別に舞台に飽きているわけではないし、毎日、 どう変えようかとか、どうしたらもっとよくなるだろう? ということを考えながらやってはいるんですけど、 どうしても同じ芝居を繰り返すのが苦手で。

それに比べて、 映像の仕事は毎日違うセリフを言って、 毎日違う場所で毎日違う表情をして、 毎日違う感情でお芝居をするから毎日新鮮な気持ちで撮影ができるんですよね。

自分でも今回“あっ、もしかしたら、 映画の現場を楽しんでない? と思う瞬間が実際にあったし、 最初は久しぶりの映像の仕事ということもあってずっと緊張していたんですけど、途中から楽しく演じることができたんですよね」

――役を作るプロセスも違いました?

「違いますね。まあ、舞台と言っても、 僕がやっていた舞台は役名が平野紫耀だったので、 僕が思った通りやればよかったんですけど、 今回の映画では鬼瀬大雅という原作の漫画ですでにイメージができあがっていたモデルがあったので、 そこになるべく近づけながら演じようと思っていて。 そこが違いましたよね」

――ドラマとは違う、映画の現場ならではだな~ と思ったこともあります?

「今回の映画は撮影期間が短かったので、その短いスパンの中で、 共演者の方々と一気に距離を縮めなきゃいけないというのはありました。

だから、 お昼ごはんはなるべくみんなで集まって輪になって食べたし、 そこには(鬼瀬と殴り合いの喧嘩をする素行が悪い大学生・ 郁巳を演じた)佐野岳くんや高橋優くんも役柄と関係なく参加していました。

それに監督が、 顔合わせの時点からみんなでトランプをやる機会を提供してくれたり、みんなが仲よくなりやすい環境を作ってくれて。人って1ヶ月弱でこんなに仲よくなれるんだと思いましたね」

共演した同世代の俳優から刺激を受けたこと

『honey』©2018「honey」製作委員会

―― 共演した同世代の俳優さんたちから芝居で盗んだことや刺激を受けたことは何かありました?

「カメラに自分が映らないおつき合いの芝居のときに、 相手をちょっと笑わせる悪戯を学んだけど(笑)、 もちろんそれぞれのいいところもたくさん盗みました。なんか、 とても濃い撮影期間でしたね」

「僕はリーダーシップをとるのが苦手なんですよ(笑)」

――平野さんは、1月29日がお誕生日でしたよね。

「はい。21歳になりました」

――今年は新年早々「ジャニーズ Happy New Yearアイランド」(1月1日~27日/帝国劇場)で大先輩の 東山紀之さんと同じ舞台に立たれましたし、 この後もチャレンジすることがいっぱい待っていると思いますが、 いまの心境を教えてください。

「1年しっかり自分らしくやりたいな~という気持ちは毎年同じですけど、舞台のときは、 座長公演でもそんなに座長とは思わずにやっていて。

僕はひとりで背負い込める器ではないので、 みんなとひとつになっていいものを作ることができたらいいなという感じでやらせてもらうようにしていますね。

まあ、いずれは、 こう、『Endless SHOCK」の堂本光一くんのように、 カンパニーを引き連れて舞台に立つのもカッコいいなと思うんです けど、いまの僕にはまだ向いてないような気がして。

僕はリーダーシップをとるのが苦手なんですよ(笑)」

――それでは、今回の『honey』の現場ではどうだったんですか?

「いつもと一緒で、 本当にみんなと一緒にいいものを作るという気持ちで頑張りました 。

初主演の映画でリーダーシップなんてとれるものなのか?とも思って。

それで、 みんなと仲よくひとつのものを作れたらいいなと考えたんです」

――でも、 ジャニーズの人たちとの仕事やメンバーと一緒の仕事ではなく、 今回のようにひとりで参加する映画の仕事にはハマったんじゃないですか?

「いや、ハマりました。撮影中は“どうしよう、どうしよう” って悩みながらやっていたけれど、1ヶ月の撮影を乗り越えて、 観てくれた人たちから『よかったよ』 って言ってもらえると達成感みたいなものも湧いてきて。

思い返すと、 あの悩んでいた時期も楽しかったなって思えるようになってきたし 、映画って本当に素敵です。これからもっと勉強して、 いろいろ複雑な感情もちゃんと分かるようになって、 機会があったら、映画にまたチャレンジしたいですね」

どんな質問をしても、真剣に考えて、 たまにはにかみながら自然体で真摯に答えてくれた平野さん。

その受け答えに見え隠れした本人も公言しているちょっぴり天然な 素顔、親しみやすくて優しいキャラクターが彼の魅力。

「King & Prince」でのメジャーデビューと『honey』での映画初主演でますます勢いに乗る彼には、 まだ本人も知らない未来と可能性が広がっている。 今後の活躍から目が離せない。

映画ライター。独自の輝きを放つ新進の女優と新しい才能を発見することに至福の喜びを感じている。キネマ旬報、日本映画magazine、T.東京ウォーカーなどで執筆。休みの日は温泉(特に秘湯)や銭湯、安くて美味しいレストラン、酒場を求めて旅に出ることが多い。店主やシェフと話すのも最近は楽しみ。