金継ぎの作業工程6ステップ

金継ぎはどのような作業を経て完成するのでしょうか。工程について教えてもらいました。

「割れた器を修理する場合は6工程、欠けた器を修理する場合は5工程あります。

漆が乾く時間が必要ですので、作業できるのは1日1工程です。

工程によっては同じ作業に3~4回かかってしまうこともよくありますので、きれいに仕上げるには5回ではなかなか終わりません。

ただ、ご事情でお急ぎでしたらお手伝いさせていただいて1クール(5~6回)で完成させることもできます。」

 

  1. つける: まずは、割れた箇所を糊漆(生漆+小麦粉)で接着する。
     
  2. うめる:接着しても隙間ができてしまうのでその部分を錆漆(生漆+砥の粉)で埋め、乾かす。
     
  3. 成形:その後、刀やサンドペーパーを使い形成する。

成形がうまくいかない場合は錆漆を再度付けます。この作業を怠ると出来上がりに影響するので何度か繰り返します。

漆で盛り上がったところは刀(とう)で削る
続いて紙やすりできれいに整える

 4.錆固め:糊漆や錆漆の部分をサンドペーパーで研ぎ生漆を塗り乾かす。

 5.呂色漆:生漆の部分をサンドペーパーで研ぎ、次に呂色漆を塗り乾かす。

右がろ色、左が生漆

 6.絵漆、加飾:呂色漆を耐水ペーパーで研ぎ、弁柄(ベンガラ)が入った赤い漆を塗り、乾き際に金や銀、錫などを蒔いて仕上げる。

蒔き物をせずに色漆で仕上げることもできます。

蒔絵粉と呼ばれるものには、様々な素材や種類があります。

青や赤の色漆で仕上げた作品

「価格の高騰もあり、金は高くなっていますね。銀の場合は経年変化で色が変わってきますが、逆にその変化を楽しむこともできます。

錫(スズ)はリーズナブルで色味が涼しげ、そして色の変化が少ないので最近人気です。」

右が丸粉、左が消し粉という金で仕上げた作品。 丸紛のほうが若干価格が高く仕上げも難しい
ベースとなっている濃い色とのコントラストが目を引く銀
こちらはスズ。素人目には銀との違いがわからない……

「どの工程にも天然素材しか使っていないので、使い手としても安心できます。

また、かなり丈夫なので電子レンジや食洗機さえ避ければ、日常の中でのNGはありません。

もし金や銀などで加飾した部分がとれてきたら、またやり直すこともできます」

普段使いに耐えられるだけでなく、その後もメンテナンスできる点は長く使いたい人にとって魅力的ですね。