初めて「ちゃんとお芝居ができた」

撮影/河井彩美

――奥さん自身は謎解きやミステリーは得意ですか。

めちゃめちゃ苦手です。原作を読んでいるときも、「これって時系列どうなってるんだっけ?」みたいに、戻って読み返したりしていました(苦笑)。

あと、空き時間に青木さんや、共演者の皆さんと謎解きゲームをやったこともあったのですが、皆さん、ポンポン答えていくのに、僕だけ全くわからず、置いてけぼりになっていました。
頭の回転が遅いのか、それとも頭が硬いのか……。でも、そんな僕でも原作は楽しく読めたので、どんな方にも楽しんでもらえると思います。

――漫画をよく読まれるそうですが、ミステリー系は読まないのですか。

いえ、ミステリー自体は好きなので、そういうジャンルの漫画も読みます。ただ漫画だと絵があるから、小説よりは情報が多いし、伏線もわかりやすいじゃないですか。だから漫画のほうが好きなんですけど、今回の『十角館の殺人』に関して言えば、小説だからこその衝撃度もあるから、何でも漫画のほうがいいというわけでもないです。

撮影/河井彩美

――本作を通して、俳優として今後の糧となりそうなことはありましたか。

一番の収穫は、今まで感覚的にやってきていた、お芝居の基本でもある「相手の芝居を受けてそれに反応する」ということを、言語化して理解できたことです。監督がそこを噛み砕いて、細やかに教えてくださいました。

これまでやれていなかったわけでないとは思うんですけど、何となくでやっていたところがあって(苦笑)。自分の中で腑に落ちたというか、落とし込めた感覚で、ようやくここで初めて「ちゃんとお芝居ができた」という気持ちになりました。

それは青木さんが僕に合わせていろんなパスを投げてくださるので、そのおかげも大きかったと思います。青木さんのお芝居に素直に反応していく中で、いろいろと試すこともできました。

例えば、顔を上げるという動作だったら、そのまま顔を上げるんじゃなくて、目線を上げてから顔を上げたほうが、映像で観るときにはよく見えるとか。そういう細かな技術的なことも教えていただけたので、それは今後の糧になると思っています。

©綾辻行人/講談社 ©NTV

奥さんがインタビューで、「僕がこれまで触れてきた全エンタメ作品の中で一番の衝撃でした」と語ったシーンがどのように実写で表現されているのか、原作を読んでいただいてる方はその目で確かめていただきたいですし、まだの方はその衝撃を受けてみてほしいです。

また事件の真相だけでなく、江南、島田を始め、そこに至るまでに繰り広げれられる登場人物たちのやり取りもしっかりと描かれているので、いろんな角度から楽しんでいただける作品になっています。

ちなみに、今回、少し長めのヘアスタイルで写真撮影に臨んでくださった奥さんですが、髪型のことを聞いてみると「次の作品のために伸ばしているんです」とのことでした。そちらのドラマ『君とゆきて咲く ~新選組青春録~』(テレビ朝日系、4月24日スタート)も楽しみです!

作品紹介

Huluオリジナル「十角館の殺人」
2024年3月22日(金)AM10時からHuluで一挙独占配信(全5話)