役を通して新しい体験ができるのはすごく楽しい
――劇中、湊人がピアノバトルに挑む場面がありますが、京本さんが自分の得意なことでバトルをするなら、何をしますか。
最近、ちょっとハマっているのが、L'Arc~en~Cielのhydeさんの歌物まね。物まねのプロには負けるかもしれませんけど、マジで自信あります(笑)。
hydeさんに声質が近いとたまに言っていただくことがあって、高校生のころからよくラルクさんを聴いていて、家でも歌っていました。音域的にも歌いやすくて、憧れて真似をしていたんですけど、最近また、精度を上げるためにやり始めました。別に披露する予定はないけど、自己満で練習をしています。
僕はガチで研究をしているので、身近には僕に勝てる人はいないんじゃないかなと思いますけど、強いてあげるなら、Travis Japanの七五三掛(龍也)ですかね。カラオケでやっているんですけど、面白いんです。真剣にやっているのが面白いんです。
――今回のピアノのように、作品を通して新しいことに挑戦することはどうですか。
めちゃめちゃ楽しいです。自分の中にないものであれば、あるほど楽しいです。知らない世界に触れられるので。
今回はピアニストという部分もそうですけど、僕は大学に通ったこともなかったし、自分の中のマルチバースみたいな、役を通して新しい体験ができるのはすごく楽しいです。
――今後、京本さん自身の音楽活動でもピアノを使う機会がありそうですか。
もともと作曲では使ってはいたんですけど、ライブで弾くとかは……それはやらないかな。ピアノを弾いてしまうと、全体としてのパフォーマンス力が落ちてしまいそうな気がして。(ピアノのレベルが)発表会みたいな感じになっても仕方ないし。
そうなってしまうくらいなら、歌に100%の力を注いで、ピアノはプロの方に弾いてもらったほうが、気持ち良く、後悔なくできそうだなって思うんです。ピアノ50、歌50の力でやるのはちょっと怖いです。
これまでずっと歌を歌ってきているからこそ、歌のほうに重きを置きたいと思うんです。もしピアノをやるなら、ピアノも人前でやりなれておかないと。ファンの方が単に僕がピアノを弾いている姿を見て「頑張ってたね」で終わるのは嫌なんです。やるからにはちゃんと音楽として届けたいから。なので、簡単にはできないと思います。
――京本さんは未来を知りたいですか。
よくタイムマシーンがあったら、未来と過去、どっちに行きたい?という質問がありますけど、僕は、未来ってあまり知りたくないんです。未来にたどり着いたときの達成感や、そこで見える景色を大事に待っていたいので、先回りはしたくないです。
だから現在に戻ってこられる前提で選ぶなら、過去に行きたいです。あのとき、本当に面白かったから、もう1回見たいなとか。好きな子に振られた、怒られた、そのときはすごく傷ついたけど、今見てみたら面白いのかな?とか。
戻って過去を変えたいとかではなく、そういうくだらない使い方はしてみたいですね。頭で思い返しただけでも面白いんですけど、実際に外側から見られたらもっと面白いんじゃないかと。それこそSixTONESが結成した日をもう1回、見に行きたい。未来はどうせ来るんだから、わざわざ行かなくてもいいかって思います。
――思いもよらない出来事が起こったほうが楽しいですか。
そうですね。自分にない発想とか、考え方に出会えるのは楽しいです。曲作りでいえば、自分の引き出しで作るとこういうものが生まれて、それをチームで作業をすると、「こういう要素を入れたほうが面白くなりそうだね」とか、「アレンジでこういう楽器を加えたら面白そうだね」と、自分にない発想が出てくるのでわくわくします。
僕は頑固な一面もありますけど、新しい風も常に待っていて、それも吸収して、自分のものにしていきたいです。
――最後に改めて、本作を楽しみにしている皆さんへメッセージをお願いします。
公開の時期は夏で、だいぶ暑くなっていると思いますけど、そんな時期にぴったりな心地よい涼しさと、余韻がしっかり残る素敵な作品になっていると思います。個人的に、この作品が公開になるのを、この一年、ずっと楽しみにしていました。絶対に観て後悔はさせないラストが待っています。観に行こうか悩んでいる方は、とりあえず足を運んでみてもらえるとうれしいです。
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全体にノスタルジックな雰囲気が漂う中、随所でピアノの美しい調べが奏でられ、まるで印象派の絵画を鑑賞しているような気分にもなる本作。ただ、いい意味でそれだけでは終わらない展開もあり、単なる恋愛映画ではないところも見どころです。
京本さんも「絶対に観て後悔はさせないラストが待っています」と言っていましたが、ぜひ映画館でその言葉の意味を味わっていただきたいです。
作品紹介
映画『言えない秘密』
2024年6月28日(金)より全国公開