自信を持っている発言が多くて、僕はそういうところがすごく好き
©2025『か「」く「」し「」ご「」と「』製作委員会 ©2017住野よる/新潮社
――お互いを見ていて、演じた役柄と重なると感じたところはありましたか。
奥平:(佐野は)ヅカのまんまだと思います。周りに対する気遣いの仕方とか、振る舞いとか。本人がそれを気にしてやっているかは分からないですけど、僕から見ていると、周囲に対して均等に気をかけているイメージがあります。
しかも本気で心配している感じを出されると、こちら側も構えてしまうけど、そこを明るく来てくれるところもヅカっぽいです。
ヅカが、宮里(早瀬憩)が最近、学校に来ていないことに気付いて「宮里、大丈夫かな」って言うんですけど、そうやって周りが見えている感じが一緒だなって思います。
――そう言われて、佐野さんは自覚がありますか。
佐野:周りは見えているほうだと思います(笑)。自分でも、原作を読んだときも、演じながらも、ヅカと似ている部分を感じていました。監督からも「そのままスクリーンに映ってくれたらいい」と言われていて、細かい指示とかもあまりなかったです。キャスティングをしていただいたときに僕に対して感じてくださったことが、たぶんヅカのまんまだったんだと思いました。
――共感度が高いキャラクターだったのですね。
佐野:めっちゃ高いです。もし自分が演じていなくても、この作品を観たら、ヅカのセリフで「俺、この言葉が早く聞きたかった」って、思うだろうなというシーンがあります。すごく自分を肯定してくれたというか、救ってくれたシーンがありました。
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――佐野さんから見て、奥平さんと京が重なる部分はありましたか。
佐野:真逆。
奥平:全然一緒じゃない。
佐野:京くんは自信なさげで、恋にもすごく後ろ向きだし、進路とか、勉強とか、何事に対してもネガティブに捉えがちだけど、大兼はいい方向に自信を持っている発言が多くて、僕はそういうところがすごく好きなんです。だから、京とは真逆だなと。
――一緒に演じていて、奥平さんが役に入ると、変わったなと感じることも?
佐野:びっくりします。普段は、今のこの感じでずっと喋ってて、カメラが回り出したら京くんになっていて。原作を読んでいたときに想像していた通りの、(原作者の)住野よるさんが生み出したキャラクターのまんまの京くんが目の前にいるから、「あれ? なんで」ってなる。僕は自分のまんまでヅカをやっているのに、大兼がすごく変わるので、何だか申し訳ない気持ちにもなりました(笑)。
奥平:確かに京くんとは似ていないですね。物事に対してあんなふうにうしろめたさを感じることもないですし。
――では、どのように京というキャラクターを理解していったのですか。
奥平:自分とは似ていなくても共感できる部分はありますし、学生時代に自分の思っていることを言えない人を近くで見ていたこともありましたし、気持ちはわからなくないので。あとは監督とも話しながら理解していきました。
――客観的に京に対してイライラするとかは?
奥平:それは全くないです。確かに、人によってはずっともじもじしているので、そう感じる人もいるとは思います。けど、特に今の若い人たちとか、京のように言いたいことを言えない環境とか、性格とか、あると思うので、僕はそんなふうには感じませんでした。



























