面白いことをしようとしたときの方向性が合う

©2025『か「」く「」し「」ご「」と「』製作委員会 ©2017住野よる/新潮社

――撮影期間中に印象に残った出来事はありますか。

佐野:ドライブに行きました。新潟での撮影の合間に海辺を2時間ぐらい。帰り道で海に寄ったけど、何も持っていなかったから、靴と靴下を脱いで素足で砂浜に降りたらマジでやけどするぐらい熱くて。地元の方に怒られたもんな。

奥平:そう、裸足で歩いてたら。

佐野:見ていた人から「皮がずる剥けすんぞ!」って(笑)。去年の夏の思い出は大兼だらけです。

奥平:本当にそうだよね。ずっと一緒にいたよね。その時は、最初は佐渡島に行きたいという話をしていて。撮影で借りていた学校の校長先生が、現地の人だけに詳しくて、「佐渡、すごくいいよ」って教えてくださったんです。

それで「行こう!」ってなったんですけど、調べてみたら、撮影時間の都合で深夜の船に乗って行くしか方法がなくて。だから、佐渡は諦めて、ちょっと遠出をして、市場みたいなところを目指してドライブをしました。

――そのドライブはわりと仲が深まってから行ったのですか。

奥平:撮影期間の前半は新潟で、後半は東京だったので。

佐野:前半の中盤くらいかな。

――ドライブ中はどんな話を?

佐野:松山千春さんの話ばっかり。

奥平:撮影現場で大流行りしたんです。

佐野:この二人の間だけだけど(笑)。

奥平:ドライブをしていて、自然の中の一本道を走っていたときに、この雰囲気に合う曲をかけようとなって。

佐野:♪果てしない大空と~(「大空と大地の中で」)。泣きそうになるくらい良かってんな。染みまくった。今、聴いてもあのときのことを思い出します。そのドライブの時に、お互いの音楽の趣味が合うというのがわかって。「この曲は知らんやろ?」みたいな曲を二人で熱唱したりしました。

奥平:そうだそうだ(笑)。

佐野:「この曲知ってる人に初めて会ったわ」ぐらいに音楽の趣味も似ていて。「世界で一番いいよな」とか言って、お互いに好きな曲を流し合うとか。

奥平:King Gnuさんの「壇上」とか。もちろんファンの方の間ではすごく人気の曲だと思うんですけど、一般的な代表曲ではない曲とか。

佐野:あとはインストのピアノ曲とかも流してた。まだそのときに作ったプレイリストが残っていて、その後も何回か聴きました。

奥平:僕もたまに聴いています。懐かしい~って。

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――お二人で一緒に過ごす時間が長かったのですね。

佐野:ご飯は毎日ぐらいの感じで一緒に行ってたかもね。

奥平:クランクインの日から一緒にご飯に行ったんですけど、地方で撮影だとしてもそんなにすぐに行くことってなくて。本当にいい人だなって思いました。

新潟では夜遅くまで撮影をするってことがなかったので、せっかくなら新潟を満喫しようと、ご飯にはよく行きました。そのおかげで、スタッフの皆さんとも仲良くなれました。

佐野:ホンマにキャスト、スタッフさん全員と仲良くなれたね。

奥平:今でも連絡するし。

佐野:空き時間とかに、大兼がきっかけでみんなで一緒に教室の黒板に似顔絵を描くとかもしていて。

奥平:あの黒板ね。

佐野:キャストとスタッフさんの似顔絵が並んだ黒板があったり。本当に居心地がいい現場でした。

奥平:僕が何かしようとすると、みんながそれに乗ってくれるんです。

佐野:面白いことをしようとしたときの方向性が合うというか。今日もなっちゃん(出口夏希)以外の4人(奥平、佐野、黒田役の菊池日菜子、宮里役の早瀬憩)が集まっていて、「皆さんの仲がいい空気感が出てて良かったです」って褒められたから、照れ隠しで首をかしげたんです。そしたら、他の3人も同じように首をかしげていて。「この息の合い方すごっ」って(笑)。ホンマに仲が良かったんだなって改めて感じました。