どこに本当の目標を置くかで、今やるべきことが見えてくる~U-15が目指す頂~

-U-15という成長過程の選手に対して指導上意識していることを教えてください。

田幸:はい、中学生は成長(身長や体重の増加)の過程で、その成長に身体の使い方が追い付かず、これまでと同じように身体が動かないという現象が起こることがあります。

つまり、成長してゆく自分の体のサイズにあった体の動かし方がわからず、混乱してしまうのです。

基本的な体の使い方を早い段階から指導することで、成長してゆく自分の体との付き合い方を改めて身に着けてもらうことを目指しています。

縦割りの一貫した指導の強みは、成長の過程をずっと知ることができる点にあり、それは指導をする上で必要な情報であることは間違いありません。

アカデミーはまだスタートしたばかりですから、こういった一貫した指導による効果については、現段階でお伝えできることはありませんが、長距離界の今後の底上げに繋げるためにもこれから発信してゆければと思います。

取り組みとしては10年スパンくらいの長い目で捉えてゆきたいと思います。

-では、選手に意識させていることはありますか?

田幸:今後、アカデミーでは選手のモチベーションをあげていくためにも様々な大会に出ていくことも視野に入れています。

ただ、アカデミーで目指しているのは、目の前の大会ではなく、もっと先を見ています。

そのために、今、何が必要なのかということを選手には伝えて指導しています。まず、中学での競技成績だけに目標を置いてはいません。

どういう結果であっても、将来的にトップになることをイメージして指導していますので、瞬間の結果は追わないようにしています。

その瞬間の結果を追わない代わりに、先々に向けて今は何をしたらいいのか、何を改善したらいいのか注意していくことが大切だと思っています。

つまり、大会で負けた選手に対して、その結果に対しての指導ではなく「本当に勝たなきゃいけない試合はここじゃないよ」と提案できることが、アカデミーならではの指導だと思っています。

選手はどうしても目の前の大会に対して一喜一憂してしまいがちですが、アカデミーでの指導においては、もっと先の将来のことを考えて声掛けをして選手の意識を高めています。

中学生の選手の成長は目を見張るものがあり、指導者としてもやりがいがある分その限界をみたいと思ってしまう気持ちは、私にもあります。

ただし、当アカデミーでは先の将来を見据えて指導をすることを目指しているので、負けたことが問題なのではなく、その結果を踏まえて今は何をする事が将来の成長に繋がるかを考え、選手に伝えるようにしています。