ヒールを履いているので、「コツッ、コツッ」って音がしちゃうから、舞台裏ではずっと、つま先で歩かなきゃいけなくて! 本当に猛ダッシュしないと間に合わないシーンがひとつあるんです。
--ストーリーのどの部分で猛ダッシュしているのか気になります。
あはははははは(笑)
--クライマックスでトニーが街中を走っていくシーンでも、360度の舞台を使っているから、移動距離が長い分すごくリアルでした。
今までのセットが全部出てくるシーンですよね。
ああやって、シーンごとに使われた場所(セット)を、最後にトニーが通過していくことによって、観ている人は“ああ、ああいうシーンもあった。こういうことも起きた”って、一瞬で頭に思い浮かべることができるんですよね。
だから余計にクライマックスが衝撃的で、忘れられないものになるというか。自分も客席で見ているときに、“すごいお芝居の作り方だなぁ、天才的だなぁ”って思いました。自分が出ている舞台だけど、本当にすごい。
--視覚的にはもちろん、思考的にも物語の中に入り込める空間を与えてもらえたというか。とても不思議な体験でした。
そうなんですね。それは興味深いなぁ。。
客席が回転するので、その分のスペースを取っているからだと思うんですが、舞台から客席までの距離も普通の劇場より遠いんです。天井が高かったり、舞台が広かったりするだけじゃなくて、舞台からだと、客席の最前列も近いとは感じなくて。
舞台と客席の近さを、これまで経験してきた身としては、“最前列が、全然近くない! ”って感じるくらいの距離感で。
『ウエスト・サイド・ストーリー』は、こんなにもすごい大作で、こんなにもメッセージ性を持った作品なのに。劇場の空間が大きかったり、舞台から客席が遠かったりする分、そのエネルギーが伝わりづらいことに、稽古中はすごく苦しんでいたんです。(第9回)
皆、死ぬほどキツいダンスを踊っているのに、客席から観るとキツそうに観えない。ダッシュしているのにそう観えない。ダブルキャストだから、客席から皆が踊っているのを稽古中に観る機会もあって、“何でこんなに、エネルギーを吸い取られちゃうんだろう”って。
最初は、特殊な舞台に対する悔しさもあったんです。だけど、“そう思う気持ちに負けたくない”“あきらめちゃいけない”っていう気持ちで、今も、毎回毎回、皆死ぬ気で踊ってます。
毎回、ホントに信じられない! 「アメリカ」を踊って舞台裏に入った瞬間に、立っていられなくて、ひざまずいちゃって。
フォッーーーーーッ、ハァァーーーーーーッ
フォッーーーーー……、ハァァーーー……ッ
フォッーーーーー……、ハァァーーー……ッ
って、信じられないくらい、目一杯思いっきり呼吸して。毎公演そうなんです(笑)
--でも…実は、客席から観ていると、我々は前方の席ではなかったんですが、むしろ舞台を近くに感じたんです。物理的な距離と、意識的に感じる距離が違うというか。
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