(2/27、『ウエスト・サイド・ストーリー』Season2が、新型コロナウイルス感染拡大を防ぐため、残りの全公演中止の発表がありました。「ミラチャイ☆」連載では、発表の2日前、2/25にインタビューを行っていました。本来ならば3/10に迎える予定だった千穐楽に向けて、真摯に、そしてひたむきにアニータ役と向き合った宮澤佐江の<公演期間中の生の声と情熱>を、今回、次回(3/20)と2回に渡って、取材時そのままにお届けします)

--さあ、佐江ちゃん。今回もよろしくお願いします!

はい、お願いします!

--連日の舞台、本当におつかれさまです。今日は『ウエスト・サイド・ストーリー』Season2の本番期間中にお話を聞ける、貴重な回となりました。

はい! ありがとうございます!!

--この回は、3/6の更新ですから、千秋楽前まで残すところ、あと4日というタイミングでの更新です。

あれ!? 公演中に更新されるの? いつもの更新より早いような気がするなぁ。2月が29日までしかないからなのかな?

よぉーしっ! 舞台をまだ観ていない人の背中を、劇場へもうひと押しするぞぉーっ! (笑)

--我々は2月の初旬に観劇しました。本当に素晴らしいエンタテインメントでした。

本当ですか!? ありがとうございます。

--360度回転劇場への驚きもありますが、何よりもまず、これまでの取材で佐江ちゃんが、この作品は「難しい」と言っていた意味が、あんなにもたくさんの要素を含んだ「難しい」だったんだと、今回、痛感しました。(第9回)(第10回)

フォトギャラリー「ミラチャイ☆」連載 第9回フォトギャラリー(+本文未公開写真)
フォトギャラリー「ミラチャイ☆」連載 第10回フォトギャラリー(+本文未公開写真)

そう感じてくださったんですね。ありがとうございます。

--その「難しさ」の1つひとつに、佐江ちゃんがどう取り組みながら今、本番に臨んでいるのか。まずは、初日をどう迎えていったのか、そのあたりからお願いできますか?

はい。今回は、360度回転劇場という特殊な舞台だったのと、ダンスはもちろん、観せる要素の多い作品でもあったので、通常の劇場入りよりも、だいぶ早く劇場入りしました。

一般的な劇場だと、稽古場で本番ギリギリまで稽古して、劇場入りするのは、長くて本番5日くらい前なんです。だけど今回は、舞台上での稽古を1週間して、その後でメイクと衣装を着けて、照明を合わせたりする「場当たり」を3日くらいかけてやって。

その後、「通し稽古」も一度やって、「ゲネ」をして「本番」になって。そうやって時間をかけて、劇場の広さや感覚をつかませてもらえた分、特殊な劇場に対する不安はなく、初日に臨むことができました。

舞台で稽古できた期間のありがたさを、本番中の今も、日々感じています。

--舞台が360度客席を取り巻いている様子に改めて驚きました。

本番中の今も、公演が始まる前にリハーサルをして、確認をするんですが、たまに客席に座って舞台を観ると、“客席と舞台、いったいどっちが回ってるんだろう?? ”って、いまだに思うくらい不思議な空間です。

--舞台セットの作り込みもすごくて、テレビドラマのセットを見ているようでした。

その通りです! テレビドラマの現場はそんなに経験はないけれど、セットの組み方が本当に細かいんです!!

ドラッグストアのセットでは、薬やタバコがカモフラージュではなく、1つずつちゃんとあって! “客席からだと、肉眼じゃ絶対に見えない! ”っていうところまで細かく、丁寧に作られていて。実物そのものが置かれているんです。

セットが本当に細かくてリアリティがある分、より自然体で嘘なくお芝居ができるんです。“オーバーにお芝居する必要はないんだ”って、日々、舞台に生きている最中です!

いまだにセットに入るとワクワクするし! 360度のセットのなかでも、自分が一度も行かない場所もあるんですよ。“あのセットのなかは、どうなってるんだろう?? ”って、興味津々。わからないことだらけなんです(笑)

--普通の舞台だと見えないところ、例えば、アニータが建物のドアを開けて、1階から2階へ上がって行く姿とか。移動する間“これから何が起きるんだろう”って、ドキドキしました。

あぁ! あそこですよね。空間をリアルに移動するのが見えるのもすごいですよね。

最初の方のシーンでも、トニーとリフが話しながら、階段を上がって行くシーンがあって。私の好きなシーンのひとつなんですが、「リアリティ」があるんですよね。

テレビや映画だと、そこにフォーカスするからわかるけど、舞台上で、本当なら見えない、「別の空間で進行していること」が、同時に見られるってなかなかないと思うんです。

これまでも舞台では“たとえ客席から自分が見えなくても、客席に向けて発信しなきゃ”ってずっと思ってきました。今回も演出家さんから「ナチュラルに」って、何度も言われたんですが、その意味を、このセットでお芝居をすることでより実感できました。

--セットに関しては、「猛ダッシュしないと、次のシーンの舞台に間に合わない」とも言っていましたよね。(第10回)

バックナンバー