2~3歳くらいまではスプーンと平行で手づかみOK。食事マナーは3歳頃からでいい

さて、手づかみ食べも大事ですが、「おいしいものを作って1人で食べさせよう!」・・・と毎回意気込みすぎると、おそらく親子共々疲れてしまいます。

最優先したいのは、家族で一緒に「楽しく食べる」こと。安全面に気をつけながら、汚れや散らかりを想定のうえ、特に初期段階ではちょっと試してみる、ぐらいの気分がちょうどいいかもしれません。

1歳頃からは、テーブル上にスプーンも置くようにします。2歳半くらいまでかけてじっくり、手づかみとスプーンの両方で食べさせるといいようです。

手づかみやスプーンでうまく食べられるようになると、箸も持てるようになってきます。

箸を使って食べられるようになる3歳くらいの時期からが、食事マナーを教える好機。けれども、実際に箸を正しく使えるようになるのは、4~5歳頃とかなり先。

お子さんの意欲を尊重し、成長のペースに合わせてゆっくり構えるのがよさそうです。

早く早くとせかさせて育った子は、『結果が出せないと自分には価値がない』と思い込んで、自信のない人間に育ってしまいます。だから親御さんたちには、焦らないで目の前の子どものありのままの姿をゆったりと受け止めてあげてほしいと思います。(中略)

結果を焦るのではなくて、『今のあなたを無条件にかわいいと思っているよ』というメッセ―ジを子どもに伝えてほしいのです。そうしたまなざしが、その子の自信につながります。
子どもの「手づかみ食べ」はなぜ良いのか?(山口平八・清水フサ子)


「手づかみ食べ」の本質は 、効率や理想を追求することより、子ども本来の育ちをゆっくりと見守る寛容さ、育つ力を大切にすることにあるようです。

お子さんのやる気をうまくフォローしながら、おいしく楽しく食べる経験を積み重ねられるといいですね。

※アトピー性皮膚炎のお子さんの手づかみ食べにはご注意ください:肌のバリア機能が壊れ、皮膚に湿疹(炎症)があると、そこからアレルゲン(抗原)が入り込み、食物アレルギーを発症する可能性が指摘されています

<参考>
まいにちの手を動かす食事で、すくすく育つ 1~3歳 発達を促す子どもごはん』(中村美穂/日東書院)

ライター/女子栄養大学 食生活指導士1級。学生時代からさまざまな体調不良に悩まされたこともあり、健康的な生活習慣について学び始める。現在は専門家を中心に取材活動を行い、おもに食、健康、美容、子育てをテーマにした記事を発信。乗りもの好きな1男の母でもある。