例2:食卓に着かないでずっと遊んでいる子ども
夕飯時、食卓に着かずにずっと遊んでいる子に「いつまで遊んでいるの!食べないんだったら、食事下げちゃうわよ!」と叱ることがあります。
子どもにしてみれば「大変だ、ご飯がなくなってしまう~」と思い、従わざるを得なくなります。
でも、子どもがいつまでも座らなかった場合、たいていの親は決して食事を下げることをしません。「食べないと、後でお腹が空いて可哀想だ」とか、「食事を抜くと成長しなくなる、身体に悪い」と思うからです。
そして、ようやく子どもが席に着いて食べ始めたら今度は、「全部残さずに食べなさい」と命じます。
でも、この言葉を分析してみると「遊んでいるなら食事を下げる。食べなくてもいい」と命じながら、「今度は残さず食べろ」と指示を出しているのです。
これらも子どもには、一貫性のない対応として映ります。
例3:いつまでも園から帰りたがらない子ども
幼稚園や保育園にお迎えに行ったとき、いつまでも帰りたがらない子どもに対して「だったら幼稚園にお泊りしていく?」とか「先生の子どもになる?」などと言っているお母さんを見かけます。
親だけでなく、プロの保育者なのにこんな脅しの言葉をかけている先生もたまにいます。
“子どもは遊んではいたいけれども、園に泊まったり先生の子どもになりたいとは思っていない”。そのことを知って、大人が使ってしまっているのですね。
幼い頃、私は妹とよく喧嘩をしていました。
すると、母は「そんな風に妹に意地悪して、仲良く出来ないんだったら、妹を○○ちゃんのママにあげちゃう」と脅しました。
更にそこに、よその親も参戦してきて「○○ちゃん、可愛いからもらっちゃおうかな」と言ってきました。
本当は妹は可愛いですし、姉妹だからこそ喧嘩するわけで…そんなときこう言われたら「止めて、仲良くするから」と、泣くしかありませんでした。
妹だって、自分は悪くはないのに姉のせいで里子に出されるようなことを言われて、きっとヒヤヒヤしていたでしょう。
「これで姉妹が仲良くなった、作戦成功!」と思っているのは大人だけで、結構、このことは私のトラウマとなってしまいました。
そして以前、私が学習塾の先生として子どもたちに指導しているとき、つい生徒が自分の言うことを聞かないと、教師なのにこんなことを口走っていたことがあります。
「そんな態度をしているのだったら、もう来週から来なくてもいいですよ」
教室には来たいと思っている子ども達です。これを言われたら、生徒は従わざるを得ないことを計算ずくで、私は言っていました。
更に私の本心は「退会されては困る」と思っていましたが、「こう脅せばなんとか態度が変わるだろう」と読んでいて、こんな対応をしてしまっていたのです。
それから、こんなことを言ったこともありました。
「もう、そんな態度をしていたら来年は小学生になれないよ!」
でもこれに対しては「6歳になれば義務教育が始まるから自動的に小学生になれる!」と反撃されてしまいました。二重拘束から自ら逃げた賢い子どもでした。