撮影:源賀津己
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  • 2018年『ショーガール』公演舞台写真

三谷さんとはフェアなキャッチボールが出来ている

PARCO劇場オープニング・シリーズにおいて“夏の陣”と呼ばれる三谷幸喜三作品三連発公演、揃った文字をあえて“三三”(サンミツ)とも呼びたい注目の企画は現在、トップランナーの新作舞台『大地』が快走を見せている。

そんな中、7月27日(月)より開幕した舞台『ショーガール』にパワー全開で取り組んでいるのが、三谷から全幅の信頼を受ける俳優、川平慈英だ。

PARCO劇場が生んだ伝説の舞台、福田陽一郎作・構成・演出、木の実ナナ&細川俊之の名コンビで知られた元祖『ショーガール』を、三谷がリスペクトを込めて再構築したのは2014年のこと。

三谷の指名によるシルビア・グラブ&川平慈英の最強タッグが、大人のためのとびきりお洒落なショーを展開し、新たな伝説のスタートを切った。

16年の再演、そして劇場改装中の18年にEXシアター六本木にて上演した第二弾『ショーガール 〜告白しちゃいなよ、you〜』も大好評を得て、今夏、いざ新装PARCO劇場へ。

川平の開口一番は、コロナ禍による自粛期間を経て、ようやくエンターテインメントが再始動した喜びだ。

2018年『ショーガール』公演舞台写真

「来ましたね! やっと表現できる場が訪れたという感じで、本当に嬉しいです」

我々観客だってもちろん嬉しい2年ぶりの『ショーガール』。第二弾と同タイトルだが、そこにはカッコで付け加えられた(Social Distancing Version)の文字が……。

「ええ、芝居の内容は前回と同じだけど、今回は“ソーシャル・ディスタンシング・バージョン”です。

このご時世を完全に手玉に取って、パロディ化しています。あえて負の部分をポジティブに活用しようかなと。どうせなら逆境も楽しんで、パワーにして、飲み込んで楽しんじゃえ!って。

歌詞にもありますからね。“ここへ来れば、憂さも晴れる。それが劇場、それが希望”ってね」

撮影:源賀津己

第一部のちょっぴりスリリングでコミカルな二人芝居、第二部の華やかなショーで構成されたステージは、この二人でなければ出せない洒脱な空気で満ちている。

「会えば一瞬にしてブランクを感じなくなる。不思議ですよね」と頼れる相棒シルビアとともに、順調に稽古を進めているようだ。

「とにかく歌唱力が圧倒的にすごい。また彼女はここ数年、ストレートプレイをたくさん経験して来ているので、芝居の引き出しがいっぱい出来たなと感じますよね。存在感が増しています。

そして男っぷりもすごい(笑)! 男前も、妖艶も、両方できる歌姫ですよ」

司令塔・三谷とも『オケピ!』を初めとする数々の話題作をともにしてきた間柄。

同じくソーシャル・ディスタンシング・バージョンと銘打った『大地』の幕を開け、その公演中の同じステージにこの『ショーガール』も乗せようとしている三谷を「すごいスタミナ!」と賞賛する。

「三谷さんとは回を重ねるごとに、演出家と役者を越えて、面白いものを作ろうとする人間同士という関係になっているような気がします。

ショーの部分ではこちらのアイデアもどんどん吸収して、楽しんでくれるし。良いキャッチボールができているなと感じますね。

で、これはいい表現なのかどうかわからないけど、たまに俺を玩具として楽しんでるんじゃねえかな!?って瞬間が(笑)。いろんな実験的なことをやらせて、おもちゃにして楽しんでるでしょ!?ってね。

まあ僕らも、もちろんお客さんを楽しませたいけど、まずはやっぱり三谷さんを楽しませたい気持ちが根底にあるんでしょう。

三谷さんが笑ってくれれば、正しいレールに乗ってるな、脱線してないな、というのがわかるから。それが心地いいんでしょうね」