皆さんに心地よく楽しんでいただくために、なるべく目立つようなデートはしない(笑)

©2020「事故物件 恐い間取り」製作委員会

――ヤマメは仕事のために事故物件に住む、という犠牲を払っていますが、亀梨さんはこれまでで、夢や仕事のために犠牲にしたと思っていることはありますか?

青春は犠牲にしましたよね(笑)。制服を着て女性と過ごした時間は、圧倒的に少ないと思います。

あとは全くしてこなかったわけではないですけど、デートをするとか。ただ、それは犠牲と言えば犠牲なんですけど、僕は必然として捉えていた感覚の方が大きいんですよね。

青春時代だけじゃなくて今でもそうですけど、生活において不自由なことがあるのは事実です。でもそれは犠牲にしようと思っているわけではなくて。サウナに入りたいから、水風呂に入る、水分を摂る、みたいな感覚というか。“亀梨和也”というものを、皆さんに心地よく楽しんでいただくために、なるべく目立つようなデートはしないという(笑)。

そうした方が仕事はやりやすくなりますし、犠牲という感覚とは違う気がしています。さっき話した冒頭の女装でのコントのように、そうした方がお客さんに楽しんでもらえる環境を整えるのは、仕事の一環だと思うんです。

例えば、マジシャンが嘘をつきたくない、と言ったとしても、それはマジシャンである以上、騙すことが仕事なわけですから無理じゃないですか。それと同じような感覚で、僕らの仕事は全部を見せてしまっては成立しないと思うんです。ただこの考え方は僕個人のもので、他の芸能人の方やジャニーズ事務所の全員がそうだとは言いませんけどね。

なのでヤマメも、自分が事故物件に住むことで、誰かを笑わせることができる、という信念のもとに住んでいるのだとしたら、それは犠牲とは思っていないんじゃないかと思うんですよね。

©2020「事故物件 恐い間取り」製作委員会

―― ヤマメはおばあちゃんを笑わせたいということが原点となり、人を笑わせることをポリシーとしていますが、亀梨さんもそういったポリシーはありますか? また改めて自分が成長したなと感じるところを教えていただきたいです。

ポリシーのように掲げていることは、僕はないんですけど。ただ自分自身に対しても、一緒にお仕事をさせていただく方に対しても、僕を応援してくださる方に対しても、自分なりの考えのもとに向き合っています。それが変わってくるようなことがあれば、少し考えなくちゃいけないんだろうなと、常々考えてはいます。

成長ということで言うと、ある種、怖さを知ったことじゃないかなと感じます。12歳からこの仕事を始めて、年々、怖さを知っていきます。

物理的な成長という感じだと、僕は二十歳でデビューをして、当時としては遅いデビューではあったんですけど、その前からドラマで主役をやらせてもらったり、グループでデビューする前にCDを出させてもらったり、恵まれた環境だったと思うんです。なので、そこから今が大きく変わったか、というと、そこまでの変化は感じていなくて。

だから今の自分を継続したり、さらに成長させるために努力をしないといけないと思っています。大きな軸は変わらないですけど、怖さや不安を覚えたことに向き合える技術を身につけていきたいですね。