そうですね。彼女が、ライブやミュージカルのお仕事に、すごくこだわりを持っていることは、卒業してからすごく感じていたんです。「生で生きる」っていう熱い気持ちや、強い意志があるのを、今回すごく感じることができたというか。

「河西智美」という人間を、改めて好きになった瞬間でした。

--今のような状況になったことで、生のライブと比較できるものができたからこそ、それぞれが大事にしていることやスタンスを、余計に感じることができたんですね。

そうですね。

あの場所で、ふたりで感じていた空間が、自分たちが思っていた以上に伝わりづらいことや、最近流行りの言葉の「エモさ」も、画面を通すとなかなか伝えきれないんだということも、アーカイブを見て初めてわかって、悔しさや、もどかしさを感じました。

「今、こういう状況だからこの曲を歌おう」とか、「こういう思いを今感じてるから、この楽曲を歌ってみよう」とか、『MIRROR-E-STAGE(ミライステージ)』でしかできないセットリストを、私たちふたりで考えたことは間違いではなかったと思ってます。

だけど、ああいうエモい系の、グッと人の心をつかむライブの「質感」をリアルに伝えるのは、まだ自分たちの技術不足もあるから、そこは今後の課題だなと思うんです。

『MIRROR-E-STAGE(ミライステージ)』で、私たちの次のチームの子たちは、ポップな懐メロとか明るい曲をいっぱい提供していて、とっても楽しそうで。もしかして、あの空間をより生かせるのは、元気いっぱいのほうが伝わりやすいのかなぁ、と思ったり。

悔しい思いもあったけど、次にまたライブをできるとなったときには、今回を踏まえてできると思うので、より一層伝わりやすいものができるんじゃないかな。そう思うと、すごく楽しみなんです。

…と、反省ばかりなんですが、「#さえとも」で、皆の感想を見ていたら、皆、感動して楽しんでもらえていたので、その言葉にすごく救われました。

上を目指せることがあるのはいいことだし、満足していないってことは、まだまだいいものが見せられるってことだから!

でも、やっぱりなぁ…。

隣で歌ってくれていた子の気持ちを読み取れなかったのはなぁ…。客席に人形を置いておけばよかった…。クマの人形とかでも置いておけば、違っていたかも。人に見立てて、熱い思いを伝える助けになったかもしれない。

(グッと悔しさを噛みしめている、佐江ちゃん)

--そればっかりは、本番をやってみないとわからないことですから。

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