もっと自分を探求して、もっと自分を愛していきたい

撮影:山口真由子

――デビューから2年が経ち、次々と新たな役に挑戦していますが、今、岡田さん自身が“役者・岡田健史”に望むことって何ですか?

もっと自分を探求して、もっと自分を愛していきたいです。

――まだ自分の中に知らない自分がいるんですね。

もちろんです。逆に死ぬまでに自分のすべてを知れる人っているんですかね?

――年を重ねると、自分がどのくらいのものかはわかってくるものですが。ただそれは諦めているからかも知れないですけど。

僕はそう(諦めているから)だと思いますよ。そうやって諦めてしまうのって、周りの影響じゃないですかね。

「いい年してやめろよ」とかって言われると、ついそう感じてしまう。確かにその言葉が適切なシュチュエーションもありますけど、僕はまだ知らない自分は絶対にあると思います。

逆に今の僕は知らないことしかないくらいです。僕が知っている僕なんてほんの一部。だから、これから役者をやっている限り、生きている限り、知らない僕をどんどん知っていきたいと思います。

――そのために心がけていることはありますか?

人の話を聞くことですかね。自分とは違う世界をきちんと見て、それと向き合う。相手がたとえ嫌いな人だとしても、こんな風に思っているんだ、という発見はあると思います。

撮影:山口真由子

――最近、何か新たな自分に出会った、ということはありましたか?

今、10月の中旬から入る作品の役作りをしているんですけど、この作戦いいな、というのが見つかりました。それは、これまでの僕とは真逆の、僕にないと思っていた要素で。

でも、それをイメージしただけで、すごくその役のセリフが言いやすくなったんです。それは僕の演技の師匠と話していて気づいたことだったんですけど、そういうのが見つかる瞬間ってすごく楽しいです。

――ことしもあと残すところ2ヵ月となりましたが、2021年への望みはありますか?

まず毎年変わらない目標は、ことしよりも来年の方がレベルアップしたい、ということです。すべてにおいてです。現状維持でもダメです。それは間違いないですね。

あとは、役者として、少しでも世の中に影響を与えられる存在でありたいです。作品を通して明日も生きよう、と思ってもらえる存在。

それはポジティブな感情ではなくて、例えば、この人みたいになりたくないから、自分はこうする、でもいいんです。

どういう形であれ、僕が携わった作品が、誰かの明日に生きる活力を与えられるような、そんな作品を作っていきたいです。


岡田さんが演じる規士が、本当に加害者にも、被害者にもなり得る存在に見えたことで、最後の最後まで、父親からの視点にしろ、母親からの視点にしろ“望み”を持って見ることができた本作。

そして、真相と規士の思いを知ったとき……。その思いはぜひ劇場で味わってみてほしいです。

作品紹介

『望み』
2020年10月9日(金)全国ロードショー