テレビシリーズから劇場版へ“空白の3カ月”に何があったのか?

── そこから劇場版の撮影に入るまで、ちょっと時間が空いたと思いますが、気持ちの切り替えはすぐにできましたか?

高橋 僕はテレビシリーズが終わったことで、僕の中でも或人の中でもひと区切りがついたので、『ゼロワン』から1回距離を置こうと思っていたんです。だから、劇場版に関してはクランクインの1週間前から台本を一気に読み込みました。

1年以上の付き合いだったので、役のことも理解していますし、だからこそフラットに、リラックスしてクランクインできて。それに、監督が杉原(輝昭)さんでもあったので、「杉原さんにこの1年の成長を見せよう」ぐらいの気持ちで臨みました。

『劇場版 仮面ライダーゼロワン REAL×TIME』より、高橋が演じる飛電或人 スーパーヒーロープロジェクト ©石森プロ・テレビ朝日・ADK EM・東映

鶴嶋 私も長期にわたって準備をするというよりは、クランクインの直前に台本を読んで臨みました。『ゼロワン』ってコロナでの自粛期間を挟んで2カ月撮影ができない時期もありましたし、やっぱりずっと演じてきたのもあって、私は役にスッと入れたというか。

特に映画の方はアズ(※人口知能アークが、衛星ゼアのデータをラーニングするために送り込んだ使者。姿こそイズに似ているものの、髪型や目の色、性格や言葉遣いなどが異なる)も演じたので、そこの切り替えという面でもずっとイズに入っていてもダメだし、ずっとアズに入っていてもダメ。そこは切り替えのスイッチを自分の中で作ってやりましたね。

『劇場版 仮面ライダーゼロワン REAL×TIME』より、鶴嶋が演じるイズ スーパーヒーロープロジェクト ©石森プロ・テレビ朝日・ADK EM・東映

── そのイズも、テレビシリーズ最終話でリセットされたことで或人との新しい関係を築き始める中でエンディングを迎えました。そこから劇場版へと続くわけですが、時間はどれくらい経過している設定なんですか?

高橋 3カ月です。でも、その3カ月の間に起きたことに関しては特に設定はなかったので、その3カ月の間に何があったのかを考えながら撮影していました。

特に映画の台本を読むと、或人がすごく大人になったと感じたので、そこを踏まえて「3カ月間、こういうことがあったのかな?」という裏設定を自分の中で作り込んだんです。

鶴嶋 イズに関しては初心に戻るというか、第1話の頃を思い出しながら演じることを心がけました。最終話では或人とイズがどうなっていくんだろう?という終わり方でしたけど、イズはテレビシリーズのときから或人のお芝居によって成長してきたキャラクターだったので、だからこそ映画でも新しいイズが成長した或人から吸収できることをどんどん吸収していこうと考えました。でも実は今回、ふたり一緒のシーンが少なくて。

撮影:源賀津己

高橋 お互いがお互いのキャラクターをよく理解しているので、「イズのこういう顔が見たいから、こういうお芝居をしてみようかな」と挑むと、求めた以上のお芝居が返ってくるし、それによって僕のお芝居もより引き立たせてもらえる。そういう部分ではお互い信頼しているので、少ない一緒のシーンでもそんな関係性が表せていると思います。

── 今回は60分で世界を滅亡させようとするエスに立ち向かう仮面ライダーたちの姿が、リアルタイム進行で描かれています。テレビシリーズ以上に緊迫感の強い構成になりましたね。

高橋 すごいですよ。常に何かがどこかで起きているので、観ている側もハラハラして忙しいんじゃないかなと思います(笑)。しかも、残り何秒ってところで映画もクライマックスを迎えるし、タイマーがゼロになってから物語が終わるまでの流れも結構シュッと進んでいくので、その間の或人とイズのいいシーン含めて楽しんでほしいですね。

鶴嶋 アネモネの花が、すごくいいんですよ。

高橋 アネモネね。映画を観ないと何のことか分からないと思いますが、それだけ言っておきます(笑)。