幕開きの曲で「全お客様に嫌われなさい」

ミュージカル『マタ・ハリ』2021年公演メインビジュアル

――おふたりはフランク・ワイルドホーン作品にこれまでも出演されていますが、その楽曲の魅力をお聞かせください。

柚希 ワイルドホーンさんの曲は、それぞれの曲に盛り上がりや迫力の起伏があること、そして長さの面からも歌うのが本当に大変です。

一方できっと彼はとてもドラマティックで、情熱的な方なのだろうなと思うような、美しくて心が揺さぶられる楽曲ばかりで。そういう楽曲を歌える喜びがすごくあります。

私が初めて『マタ・ハリ』という作品を観たのは、オク・ジュヒョンさんがマタ・ハリを演じている韓国公演でした。

オク・ジュヒョンさんは本当に素晴らしい女優さんでとても尊敬しております。今回はさらにより高みを目指し、素晴らしい曲を歌っていきたいです。

愛希 私は以前、『スカーレット・ピンパーネル』でワイルドホーンさんの音楽に携わったのですが、すごく耳に残るし、口ずさみたくなるようなキャッチーな曲ばかりでした。

今回、『マタ・ハリ』の譜面を見たら、本当にもうすごくて。一曲一曲お客様に投げかけるような印象で、自分にとってすごく挑戦だし、しっかりがんばらないとなと気合いを入れ直しています。

――一曲一曲投げかける感じは、柚希さんは前回経験していかがでしたか?

柚希 まず幕開きの曲がすごいんです。演出の石丸さち子さんには「そこで全お客様に嫌われなさい」「この女、強め。本当に嫌!って思わせるくらいいきなさい」と言われました。

つまり、そこに溢れ出る中身があるんですよね。

――「嫌われなさい」なんですね。

柚希 前回、お客様に好かれる演技をしがちだと指摘を受けました。「全てのお客様に愛されようとしている」って。そんなふうに思っていなくても、身について自然とそう見えてしまったのだと思います。

お客様に嫌われても、この女無理、と思われても、その女を演じればいいんだということを仰って。

衝撃的なご指摘でしたね。そこは今回もやってみようと思います。

一緒に前に進んでいきたい

――同じ役を演じるおふたりですが、お互いの印象をお聞かせください。

柚希 ちゃぴちゃん(愛希)と同じ役をするなんて……

愛希 (笑)

柚希 信じられない(笑)。皆さんもそう思っていると思いますが、私もめちゃくちゃ思っています。

今まで全然違うタイプの方とWキャストをさせて頂くことが多かったのですが、宝塚の下級生とのWキャストは初めてなので新鮮です。

全然違うタイプなので、いろいろ勉強させてもらいながら、刺激をもらいながら、稽古場では一緒にマタ・ハリをつくっていくつもりで過ごしたいと思います。

愛希 私も最初は「ビックリ」というのが一番だったのですが、ちえさん(柚希)って、男役さん時代もそうですし、女優さんになられてからも、常に前に前に進まれている、新しいものを追求して、自分の個性をどんどん磨いていらっしゃるイメージがあって。

私自身も拝見してとても楽しませていただいていましたし、すごく尊敬しています。

ずっと前に進むエネルギーを強く感じていたので、それをお稽古場で近くで拝見できるというのはしあわせだなって。前に進むってなかなか難しいですから。

自分も一緒になって進んでいきたいなと思っています。

柚希 いや~、そう見てくれているならすごく嬉しいです。

毎公演、ゼロから始まるんですよ。なんで前回までのことが活かせないのだろうかと悔しい思いをしながらも、「なんとか初日までに」、幕が開いてからも「なんとか一公演ずつ」と思ってやっています。

その「まだできていない」という感触が、前に進む原動力ですし、もう、そうじゃないと過ごせないような感じです。