モンローはみんなの不幸がエネルギーになる(田代)こんな万里生さんは見たことない(加藤)
――もうひとつの役・ジャック(ロンドンの街を恐怖に陥れる連続殺人鬼)はどうですか?
加藤 楽しんで演じています(笑)。振り切ったもん勝ちみたいな。ダニエル(純真なエリートだが闇に堕ちていく外科医、木村達成と小野賢章がWキャストで演じる)とは、ある意味表裏一体というか。
ジャックの存在が大きければ大きいほど、ダニエルの内面にあるものが膨れ上がっていくような役なので、白井さんからは、自分が想像していたよりも「もっと大きく」とか「もっとダニエルを煽るように」という演出を受けています。思っていたよりやっていいんだなって感じです。
――韓国で観たジャックとも違いますか?
加藤 もちろんぶっ飛んでいるという意味では共通している部分もあるのですが、演出の仕方だったり、ジャックの在り方だったりは別物ですね。“ダニエルに通じている”という部分は白井さんならではのところだと思うので、目指したいです。
――田代さんは、ビジュアル撮影のタイミングで取材させていただいた時に、モンロー(スクープのためならどんな手段も厭わず事件を追う新聞記者)を「どんなふうになるのかわからない」というお話をされていました。実際に稽古が始まってどうですか?
田代 葛藤していたり不安そうな顔のキャラクターが多い中、モンローはずっと狂気的に笑っているんですよ。ある意味ジャックと同じで、好きなことしかやっていない人です。
自分がやりたいことをゴリ押しして、全部実現させながら物語が進んでいくので、僕はあまりストレスがないですね。みんなみたいにどんどん病んでいく感じとかないです。楽しいです!
加藤 (笑)。でもそのぶん動きまくるよね。記者の役だから。
田代 そうね。だから誰よりも汗をかいてる。特ダネ欲しさに燃えています!
――やはり韓国版のモンローとは違う感じですか?
田代 韓国版のモンローはコミカルな雰囲気もあったようですが、今回のモンローはコミカル要素というよりも、本当に狂気と欲望丸出しという感じ。何に対しても誰に対しても全くひるまない、ものすごい圧と熱量がある役になっています。
加藤 「特ダネをものにしたい!」「あわよくばそれで…!」というような役ですよね。
田代 そう、だからみんなの不幸がエネルギーになるんですよ(笑)。みんながダウンしていけばいくほど、モンローはそれを燃料にして高らかに笑っていくっていう。
加藤 でもこんな万里生さんは見たことないと思いますよ。割とちゃんとした人の役が多い印象がありますけど、こんなに汗かいて、常に笑って……アンダーソンに対してはちょっとうざいし(笑)。
田代 白井さんには「モンローはハエのようにアンダーソンにまとわりついてくれ」と言われているので。(加藤と田代がWキャストでラドゥーを演じた、2021年6~7月上演のミュージカル『マタ・ハリ』で)ラドゥーを演じている時は「気持ち悪い」って言われてたんですけど、今モンローをやってる時は「うざい」って言われるんですよ(笑)。快感です!
2人 (爆笑)。