全力で食らいついて、絶対にいいものを届けたい

撮影/源賀津己

――エリオットの弟のダレンを演じる北村匠海さんは、今回が初舞台だとか。

彼とは結構共演する機会が多くて、別の作品(編集部注:映画『さくら』)でも兄弟役を演じたことがあります。かなりのプレッシャーだと思うけど、すごく才能のある役者だし、人としても信用しているので楽しみです。

僕のほうが年上ではあるんですけど、ふたりでいる時は彼のほうがしっかりしていて、僕はふざけているタイプなので(笑)。兄弟という関係性を考えるとイメージが逆かななんて思ったりしますけど、彼がダレンをどう演じるかは本当に楽しみにしています。

――演出の白井晃さんとの作品作りにも、どんな期待がありますか?

白井さんの演出は、楽しみでもあり、恐怖でもあり(笑)。いろんな人から「厳しいよ」と聞くんですが、その後に必ず「でもすごく愛があるから」って言葉が続くんですよね。これまで白井さんとお仕事されて来た人たちが、すごく白井さんのことを好きで、信頼していることが伝わります。

相当追い込まれると思うけど、追い込まれて追い込まれて形にしていく、という作業は舞台ならではだと思うし。白井さんの演出は、すごく緻密に、何度も稽古を繰り返しながらやると聞いています。

そういう経験は久しぶりなので、僕の中でお芝居に対する新たな意識が生まれるのか、これまでのものが全部崩れていくのか、何か変化は起こるだろうなと。そこはすごく期待しています。

撮影/源賀津己

――今、ご自身が舞台に立つために必要なもの、課題についてどのように考えていますか?

課題は山ほどありますけど、緊張感はなくしたくないと思います。舞台に出る前の、どうしよう!といった恐怖心とか、舞台に出た後にそういった思いは全部忘れて、集中していく感覚とか。

あまり舞台慣れはしたくないと思っています。やっぱり舞台は僕の中で、特別なものとしてこれからもあってほしいなと思うので。

――大河ドラマで大活躍した吉沢さんを劇場で生で観たい!という方がたくさんいらっしゃると思いますが、衝撃の変身に驚かれるでしょうね。

確かに(笑)。僕がこの『マーキュリー・ファー』の初演を観た時の、圧倒的な臨場感、絶望感、あのとんでもない感動を、今回観に来てくださる人にもぜひ感じてほしいです。そうなるには、僕がどこまで白井さんについて行けるかに掛かっているなと。全力で食らいついて、絶対にいいものを届けたいと思っています。

公演情報

『マーキュリー・ファー Mercury Fur』
2022年1月28日(金)~2022年2月16日(水)
会場:東京・世田谷パブリックシアター
ほか、3月11日までツアー公演あり