先生はもちろん、子ども同士でも否定的な発言はしない

——心理的安全性という言葉は、昨今よく耳にしますね。

西山「はい、心理的安全性は子どもたちの中に“軸”を作るための土台として非常に重要なものです。

こんなふうに考えていい、発言していいという安心感が子どもの中に思考していく上での軸を形成します。

自分の中に軸があるからこそ、思考することができるし、それを言葉にすることができます。自分の軸があるからこそ、他者との価値観の違いに気が付けるのですよね。

そしてその軸に安心感と自信を持っているからこそ、他者の考えを聞き入れてそれに対する自分の意見を話すこともできると考えます。この自分の軸を育むことが、ベネッセ文章表現教室でとても大切にしていることなんです。

つまり、多様性を許容できるようになる、ということですね。これは現代においては非常に重要な力だと思います」

子どもの国語力を育むために家庭でできること

——ベネッセ文章表現教室は、国語力だけではなく人間力に関わる部分にもアプローチしているように思います。なかなか家庭では真似できないですね……!

西山「ベネッセ文章表現教室はすでに十数年、カリキュラムを時代に合わせて更新しています。たしかに、家庭で全く同じように実践するというのは難易度が高いですね(笑)

ただ、国語力や文章能力が高い子どもには一定の傾向があります」

——そうなのですね。例えば自分で辞書で調べるとか、やはりある程度読書をしている、などでしょうか?

西山「もちろん、ボキャブラリーを増やすという意味では紙の辞書で調べるという行動は効果的ですし、文章表現教室でも子どもたちにはそうさせています。

ただ、先にも話したように、読書量の多い子どもが国語力や文章能力が高いとは限りません。

では、なぜ読書が国語力や文章能力を育むことに良いといわれるかというと、本を読むことはその内容を脳内で想像したり反復したりすることで、自主的な思考に繋がりやすいから、という部分からです。

つまり想像したり、思考を繰り返したりということができるのであれば、読書でなくでも構わないのです」

——具体的にはどのような方法が考えられるでしょうか?

西山「例えば普段の外遊びなどでも思考するという機会が与えられるのであれば、それでも良いと思います。

一番日常でやりやすいのは、普段の親子のコミュニケーションの中で子どもの話を反復して共感し、質問をたくさん投げかけることです。こうすることで、子どもの中には自然に思考するための“問い”が生まれていきます」

——国語力が高い子どもの親や家庭の特徴はまさにそれでしょうか?

西山「はい、そのように感じます。子どもの言うことを否定せず受け止めて、どんな意見でもまずは聞いてあげる、その上で質問を重ねていくことで会話を深めていくというコミュニケーションの取り方をしている保護者や家庭が多い印象です。

よく学校などに、勉強をしている様子はないのになぜか国語はできるという子がいますよね。そういった子は、日常でのコミュニケーションで国語力を磨いているからだと思います」

東京個別指導学院には「やればできるという自信 チャレンジする喜び 夢を持つ事の大切さ」という教育理念があり、この理念を伝えていくことを大切にしているそうです。

その上で「自分の中に軸を持ち、それを発信するだけでなく、他者の発信もしっかりと受け止められる子になって欲しい」西山さんは、子どもたちに対してそう考えているそうです。

そのためには、しがらみなく自分の意見を言えた経験が必要だと西山さんは話します。

その環境は、ベネッセ文章表現教室はもちろん、家庭の中にも作り上げることができます。

多様性が許容され、たった一つのことが正解ではない時代。その最中に生きる子どもたちに最も必要な力の一つが国語力や文章能力なのかもしれません。

【ベネッセ文章表現教室】
「ベネッセ文章表現教室」は東京都、神奈川県、埼玉県に15教室を展開しています。

・東京都(吉祥寺教室、用賀教室、麻布十番教室※、大井町教室※、国立教室※、自由が丘教室※、仙川教室※、成城コルティ教室※、豊洲教室※、広尾教室※)
・神奈川県(たまプラーザ教室、川崎教室※、新百合ヶ丘教室※、戸塚教室※)
・埼玉県(武蔵浦和教室※)
※「東京個別指導学院」内に併設しています

※日本全国からオンラインで授業を受けていただける「ベネッセ文章表現教室オンライン」も開講しています。

【取材協力】

西山 利彦(にしやま・としひこ)
株式会社東京個別指導学院 STEAM事業部長

2003年株式会社東京個別指導学院入社。個別指導教室の教室長やマネージャーを経て、2015年よりベネッセ文章表現教室・ベネッセサイエンス教室を管轄する事業部の事業部長。約19年、教室で生徒・保護者に寄り添ってきた。

ライター&エディター。マーケティング、広告関係の職種を経て、出産をきっかけにライターに。現在は女性向けや子育て関連等のwebメディアでライター、エディターとして活動し、2歳児のマイペースな息子にのんびり育児を実践中。猫と焼肉とビールをこよなく愛するテンプレート小市民。