昨年、見事に優勝校を的中させた駒沢大学の黄金期を支えた西田隆維さんとM高史さん。今年もお二人に箱根駅伝2018の優勝校の予想と見どころを聞いてみました。
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昨年度、出雲駅伝・全日本大学駅伝・箱根駅伝の3冠を達成し、箱根駅伝では現在3連覇中の青山学院大学。しかし、今年度は出雲駅伝、全日本大学駅伝と優勝を逃し、箱根駅伝4連覇に黄色信号が灯っています。

出雲駅伝優勝の東海大学、全日本大学駅伝優勝の神奈川大学。青山学院大学、東海大学、神奈川大学の3強。そして各校の戦力も拮抗してきて、前回大会よりも予想が難しくなりました。

かつて駒澤大学の黄金期を支えた、駒澤大学初優勝に貢献(当時9区区間新記録樹立)し、エドモントン世界陸上マラソン日本代表にもなった西田隆維さん(以下:西田/写真左)と駒澤大学陸上競技部OBで駅伝主務だったM高史さん(以下:M/写真右)のお二人に第94回東京箱根間往復大学駅伝競走の予想や見どころや裏側を聞いてみました。

 

ジンクスからみる青山学院大学の4連覇!?

M:ジンクスでいうとこれまで箱根駅伝を3連覇した大学は4連覇をしています。過去に3連覇で途切れた大学は今のところありません。ジンクスっていう点で見ると青学の4連覇もあるといえます。ただ、3冠(出雲駅伝・全日本大学駅伝・箱根駅伝)した次の年は、3大駅伝を1つも勝てないってジンクスもあります。

過去に大東文化大学・早稲田大学・順天堂大学が3冠を達成した翌年は1つも勝てなかった。3連覇した大学は4連覇するジンクスか、3冠した翌年は1つも勝てないジンクスか、ジンクス同士の戦いにも注目です。

全日本大学駅伝を制した神奈川大学の強み

西田:神奈川大学の大後監督の安定した強さを固めた指導力はすごい。出場した選手全員が区間上位でまとめてくるチームの調整力の高さが魅力だよね。出雲は6人、全日本は8人。当然、6人の調整を合わせるより8人を調整させるのは難しいし、それを上手く調整してきた神奈川大学は10人でつなぐ箱根駅伝でも楽しみな存在です。

箱根駅伝に出場する10名全員の調整が上手くいったチームは上位3位以内に入ると思う。ただ、こればっかりは予想できないし、どのくらい調整が上手くいっているかは内部に入り込んで取材しないと見えてこないことなので、そういう点から見ると、今日の予想は適当な予想になっちゃっているのかもしれません(笑)

M:調整力でいうと、各チームの戦力差がなくなってきているので、調整が上手くいったチームとそうじゃないチームの差が、順位に現れやすくなっているかもしれません。3位以内に入ることもあれば、ギリギリでシード権獲得、まさかのシード落ちということもあると思います。

1区の展開どう読み切るか

西田:どこかの大学が1強という状況ではないので、1区と2区で当たり前のように上位でつないできて、3区でどれだけ流れを作れるかが重要かな。3区にも強い選手が置ける大学とそうじゃない大学で流れが変わるかも。

M:今回、関東学生連合の1区を走る可能性が高い東大の近藤選手(東大生の本戦出場は2005年以来13年ぶり)が、どうレースを進めるのかというのも楽しみですね。自由に走ると思うので、かき乱したらどうなるのかなという楽しみもあります。

また、神大は1区・2区に山藤選手(3年生/過去の箱根駅伝成績:2016年3区12位)と鈴木選手(4年生/過去の箱根駅伝成績:2015年6区19位、2016年2区14位、2017年2区1位)のツートップを走らせると公言していますから、他の大学も、1区・2区にエース格を並べないわけにはいかなくなってきています。1区・2区に実力者が揃う可能性は高いですね。

西田:1区にエースや準エースを置いたときに、各校の監督がどういう指示を出しているかということも面白いよね。どこかの監督が最初から抜け出していくように指示を出すとハイペースになる可能性が高いし、各校の監督が先頭集団でレースを進めろという指示だとスローペースになる可能性が高いです。

スローペースになる可能性もあると考えると1区にエース格を置くかどうか迷うと思う。たられば論になるけど、スローペースになるなら5~6番手くらいの選手を配置すればよかった、ってことになる。1区はよほど離されなければいいやと思うなら、失敗の少ない4番手くらいの選手を配置してもいいかしれないですね。