10年間で変わったこと、コロナ禍を経て変わったこと
――作品の10周年にちなんで、井上さんご自身のこの10年についてもお聞きしたいのですが、一番変わったと思われるのはどんなところですか?
10年前はたしか、デヴィッド・ルヴォー演出の『ルドルフ~ザ・ラスト・キス~』とこの作品を続けてやらせてもらったんですよ。大変だったけど、今となってはどっちも大事な作品だから、すごい年だったなあと思います。
そこから変わったことは色々ありますけど、少なくともあの頃は、こんなに手を広げることになるとは思ってなかったですね(笑)。
特にMCに関しては、元々興味はありましたけど、自分からやりたいと言ったというよりは気付いたら就任してた番組もあって。舞台をやりながらなので本当、パツンパツンです(笑)。
――舞台とは別のところでの活動なのかと思いきや、「行列のできる相談所」でミュージカル特集が組まれたりと、井上さんがMCをされることがミュージカル界の活性化にもつながっています。そのあたりは意図してのことですか?
それだけのためにやってるわけじゃないけど、そうなったらいいなという思いは常に持ってます。ミュージカルに結び付けられるチャンスがやってきた時、それを生かせる自分であるように頑張ってきたつもりではあるというか。
それと最近考えるんですけど、コロナ禍になってなかったら、自分は今こういう感じではなかったかもしれないなって。まずMCの仕事をこんなにはやってなかっただろうし、そこで「演劇界は今こうなんですよ」って言わなきゃ、とかも考えなかったかもしれない。
発言する場が与えられた時、それに耐え得る言葉を持っておきたいと思うようになったのは、コロナ禍があったからかもしれません。それがいい作用と言えるかどうかは、もうちょっとしてみないと分からないことですけどね。