僕は気持ちはちゃんと伝える派です

撮影/小嶋文子

――今回、それぞれ相手が演じる役柄についてはどう思いましたか。

木村:ぴったりだなって。

山中:僕も合うなって思いました。『恋と弾丸』で初めて会って、次が今回の本読みのときだったから、正直、そこまで慧人くん自身がどんな人かはわかっていなかったんですけど、撮影をしながら「こんなにも合ってたんだ」って気づいていくんです。それは慧人くんのお芝居の力もあるんですけど、すごく合っていました。

――どの辺が重なるのですか。

山中:男女問わず愛されるところ。あとは尾上には少し抜けているところがあるんですけど、慧人くんもちょっと天然なところがあったり(笑)。そこが可愛らしい部分ですよね。他にも素直で、真面目で、仕事が好きで、熱心で、ストイックなところとか。ホントにハマってました。

木村:柔太朗と蕪木が似ている部分で言うと、一見、しゃべらなかったらクールなんだけど、笑ったら可愛いところ。蕪木のふとした笑顔に尾上はキュンとするので、そこは重なると思いました。

逆に蕪木は言いたいことがあっても言わない、もどかしい感じがあるんですけど、柔太朗はちゃんと自分の気持ちを伝えてくれます。お芝居をする上で感じていることとか、セリフの練習も柔太朗から「やりましょう」って声をかけてくれます。

撮影/小嶋文子

――役柄に対して、自分としてはここが重なるなとか、逆にここはわからないなとかはありましたか。

山中:この二人、お互いになかなか好きって言わないじゃないですか。蕪木に関してはむしろ冷たいと言えるくらいの態度だし。そこはわからないですね。僕はそんなことしないと思います(笑)。気持ちはちゃんと伝える派です。

蕪木は好きの裏返しではあると思うんですけど、「こんなこと言っちゃう?」って思うことも結構ありました。ツンが強すぎて(笑)。僕的には「そこまで言わなくてもいいじゃん」って思っていました。

木村:僕も尾上を見ていて「あんなに落ち込むかな~」とかは思っていました(笑)。確かに自分も言われたら落ち込むとは思いましたけど、それをいろんなところで出していったりはしないです。僕は自分の中だけ、一人の時だけ落ち込みます。

山中:確かに尾上はいろんな人に相談しますよね。それがいいところでもあるけど。

木村:そう。抱え込まないのはいいところ。いろんな人に話して、意見を求めて解決するのが尾上のやり方であり、魅力でもあるとは思います。

――木村さんは人にあまり相談をしないのですか。

木村:相談するとしても一人とかですね。それが大樹くんだったり。でもまずは一旦、自分なりに考えて答えを出してから相談するようにしています。

山中:相談をしても、結局、相手も同じ答えだったりするんですよね。自分でもわかっているけど、聞いておきたいっていうか。

木村:安心したいんだよね。そう言ってほしいっていうのがあると思う。

山中:そう、安心したいんです(笑)。

撮影/小嶋文子

――それぞれ演じる上で心がけていたことはありますか。

山中:感情が表情に出過ぎないようにというのは意識していました。蕪木は周りに本当の感情を隠しているので、基本的に感情を出し過ぎない。たとえ驚くことがあっても驚いた表情はせず、隠すのが蕪木の特徴の一つなので、心だけ動かすようにしていました。

木村:原作を読むと尾上って一つひとつの動きや表情が大きいんですけど、それをどれだけ現実でナチュラルにできるかというのが課題でした。まずは減らすことはできるからと思って、大げさにやってみたんですけど、やっぱり減らす作業が必要で。

だから原作のことは一旦忘れて、もし自分が尾上だったらこういうふうに話すだろうなという感じで話してみたら、すっと役に入り込めるようになりました。

あとは、クランクインしてみないと相手のセリフの言い回しとか、間とか、わからないところも多かったから、相手が言ったことをどう受け入れて、どう話すかというのも意識していました。

©「飴色パラドックス」製作委員会・MBS

――その辺りのニュアンスはお二人で話すこともありましたか。

木村:監督も含めて3人で話すことはよくありました。まず本読みのときに、監督から「もっと自然に」って言われて。それでいつもの自分のしゃべり方でやってみたら、今度は「クール過ぎる」って。

山中:尾上って乙女な、可愛らしい部分もあるからね。

木村:だから、自分的には「甘辛ミックスだな」と思って演じました。

山中:クランクインしたとき、僕は慧人くんが本読みからいろいろ準備したんだろうなって感じて。もうそのときは完全に尾上になっていました。

木村:(クランクインまでに)演技を指導してもらっている方に本読みに付き合ってもらったりもして。その時も原作通りにやり過ぎることを指摘していただいたので、そこからさらに自分なりにいろいろ試して、インの前にはだいぶつかめてきていたので、その状態で入れたのは良かったです。