画家の個展や回顧展も充実

エゴン・シーレ《ほおずきの実のある自画像》 1912年 レオポルド美術館蔵 Leopold Museum, Vienna

美術館の名品展はもちろんのこと、2023年は画家の個展や回顧展も充実。1月からスタートする『レオポルド美術館 エゴン・シーレ展 ウィーンが生んだ若き天才』(東京都美術館、1月26日~4月9日)は、最年少でウィーンの美術学校に入学し、独自の表現を模索しながらもわずか28年でその生涯を閉じた画家、エゴン・シーレの回顧展。

世界有数のシーレコレクションで知られるウィーンのレオポルド美術館の作品を中心に、クリムトやココシュカなどウィーンで活躍した同時代の作品とともに画家の生涯と作品を振り返る。

マリー・ローランサン 《ニコル・グルーと二人の娘、ブノワットとマリオン》 1922年 油彩/キャンヴァス マリー・ローランサン美術館 © Musée Marie Laurencin

4月より長期休館に入るBunkamuraザ・ミュージアムで開催される、休館前最後の展覧会となるのが『マリー・ローランサンとモード』(2月14日〜4月9日、京都市京セラ美術館4月16日~6月11日、名古屋市美術館6月24日~9月3日)だ。

同展は、1920年代のパリを自由奔放に生きた画家マリー・ローランサンと、彼女と同じく1883年に生まれたファッションデザイナー、ココ・シャネルの二人の活躍を軸に、当時のパリの芸術界を俯瞰する展覧会。

淡く、柔らかい色彩で美を追求したローランサンと、男性用の布地やスポーツウェアなどを女性服に取り込み、斬新な服を作り続けたシャネルの作品に加え、彼女たちをとりまいたポール・ポワレやマドレーヌ・ヴィオネ、ジャン・コクトーやマン・レイなど時代を牽引したデザイナーやアーティストらの作品も合わせて紹介される。

アンリ・マティス 《赤いキュロットのオダリスク》 1921年 ポンピドゥー・センター/国立近代美術館Centre Pompidou, Paris, Musée national d’art moderne-Centre de création industrielle

世界最大級のマティス・コレクションを誇るポンピドゥー・センターの協力を得て、4月より開催されるのは、東京都美術館の『マティス展』(4月27日~8月20日)。

「野獣」と揶揄されたほど強烈な色彩の初期の油絵から、大胆なフォルムの切り紙絵、彼の晩年の傑作といわれるヴァンスの「ロザリオ大聖堂」に関する資料にいたるまで、ポンピドゥー・センターが所蔵する各時代の代表的な作品を手がかりに、常に革新を求め続けた巨匠アンリ・マティスの足跡を紹介する。

デイヴィッド・ホックニー《春の到来 イースト・ヨークシャー、ウォルドゲート 2011年》2011年 ポンピドゥー・センター © David Hockney Photo:Richard Schmidt

60年以上にわたって現代美術シーンを牽引し、今なお精力的に活動を続けるデイヴィッド・ホックニーの大規模個展も見逃せない。

東京都現代美術館で開催される『デイヴィッド・ホックニー展』(7月15日〜11月5日)では、アメリカ西海岸の明るい情景を描いた初期の代表作から、iPadを使って描いた近作、ロックダウン中に描いた全長90メートルに及ぶ新作など、100点以上の作品を紹介し、ホックニーのこれまでの道のりを辿っていく。