本格的なキュビスム展は、日本ではなんと約50年ぶり
美術の歴史のなかで、20世紀前半のキュビスム、そして抽象絵画の出現は、ルネサンス期と同じくらい衝撃的な表現の転換点だった。『ABSTRACTION 抽象絵画の覚醒と展開 セザンヌ、フォーヴィスム、キュビスムから現代へ』(アーティゾン美術館 6月3日〜8月20日)は、抽象絵画が生まれ、発展する道程を展観していく大規模な展覧会。
マネやセザンヌら印象派の画家たちが種を巻き、マティスらのフォーヴィスム、ピカソやポロックが作り上げたキュビスムを経て、現代に花開いた抽象絵画を、アーティゾン美術館の3フロア全てを使って丹念にたどっていく。
『パリ ポンピドゥーセンター キュビスム展—美の革命 ピカソ、ブラックからドローネー、シャガールへ』(国立西洋美術館 10月3日〜2024年1月28日、京都市京セラ美術館 2024年3月20日〜7月7日)は、フランスのポンピドゥーセンターが所蔵する名品を中心に、キュビスムがどのように展開し、どのような影響を与えたのかを紐解いていくもの。
本格的なキュビスム展は、日本ではなんと約50年ぶり。ものの形を幾何学的にとらえ、多視点で組み合わせる表現手法で知られ、20世紀以降の美術を革命的に変えたキュビスム。生みの親であるピカソとブラックをはじめ、ドローネーやシャガールなど、主要作家およそ40名による約130点によって、この美術運動を丁寧に検証していく。
また、19世紀後半から20世紀にかけて多くの画家たちが訪れ、描いたフランスのブルターニュ地方に焦点を当てた展覧会も開催される。
国立西洋美術館の『憧憬の地 ブルターニュ ―モネ、ゴーガン、黒田清輝らが見た異郷』(3月18日〜6月11日)では、同館の「松方コレクション」をはじめ、国内美術館や個人コレクションからブルターニュを表した作品約160点を厳選。画家たちがブルターニュ地方に何を求め、描いていたのかを紹介する。
2023年は、「久々」な展覧会が多く、エゴン・シーレの展覧会は30年ぶり、マティスの大回顧展は国内で20年ぶり、デイヴィッド・ホックニーの大規模個展は27年ぶり。そしてキュビスムの本格的な展覧会は、なんと47年ぶりだそう。今年も、アート作品との一期一会を存分に楽しもう。