休みの日はスマホの電源を切ってしまおうと思います(笑)

©2022映画『そして僕は途方に暮れる』製作委員会

――藤ヶ谷さんは普段、逃げたいなと思うようなことはありますか。

1日に何個も仕事があると「逃げたいな」ってなりますよね(笑)。でも、一番逃げたいって思ったのは、この映画の撮影のときです。人間は不幸なもので、この現場を経験したことで免疫がついてしまって、何かあっても「あの時以上ではないな」って思っちゃうんですよね。

――今回の撮影以上に逃げたいと思うようなことはないと。

(笑)。三浦組では覚悟とか、精神力とか、いろんなものが必要になるんですけど、終わってみると「またやりたいな」って思うんです。やったら苦しむとわかっているのに、やりたいと思う不思議な監督です、三浦さんは。

――もし、周囲にそこまで迷惑がかからないプチ逃避ができるとしたら、どんなことをしてみたいですか。

たまにあるんですけど、2日間の休みが取れて、どこか旅行に行くとするじゃないですか。そうすると、1日目の夜にマネージャーさんから「番組のアンケートです」ってメールが来るんです。それが結構な分量があったりもして、しかも、「締切が急なのですが、明日です」とか。

マネージャーさんが悪いわけでも、番組さんが悪いわけでもないんですけど、そういうときは「うわ~」ってなっちゃいますよね(笑)。1日目の夜って、明日も休みなわけで、一番、ゆったりとしている時間帯なわけで。

アンケートってそれが反映されるわけだから、適当にも書けないし、それなりに調べたり、時間をかけないとできないものなんですよね。だからもう、休みの日はスマホの電源を切ってしまおうと思います。なんか今話していて、思い出したらテンションが下がってきました(笑)。

©2022映画『そして僕は途方に暮れる』製作委員会

――藤ヶ谷さんが裕一のように極限まで追い込まれたとして、頼るとなったときに思い浮かぶ人はどなたですか。

それで言うと、この映画を撮る前に、(連続ドラマW)『華麗なる一族』に出させていただいていたんですけど、そこで中井貴一さんと共演をさせていただいたんです。その時に「俺はお前を息子だと思っているから、何でも頼って来いよ」って言ってくださっていて。

コロナの影響とかで『華麗なる一族』の撮影が延びたこともあって、終わったらすぐにこの映画の撮影に入ることになっていたから、少しどんな作品なのかとかもお話をさせてもらっていたんですね。

それである時、この撮影をしていて、あるシーンで気持ちが全く動かなくなってしまったことがあって。1回、休みが入って、休み明けにまた撮るとなっていたんですけど、どうしていいかわからなくなって貴一さんに連絡しました。社交辞令だったかもしれないけど、咄嗟に貴一さんの言葉を思い出して。

それでそのときの自分の状況を伝えたら、すごい長文のお返事をくださいました。貴一さんも苦戦したことがあるというお話や、お芝居には技術力だけでなく、集中力も必要とか、いろんなお話をしていただきました。頼らせていただきましたね。

――キスマイのメンバーはこの映画にどんな反応をしてくれましたか。

メンバーはまだ観られていないですね。ただ、舞台のときに観に来てくれたメンバーはいて、めっちゃ面白いって言ってくれました。気持ちもわかるし、何より、演じている時の僕がすごく楽しそうだと言ってもらえてうれしかったです。だから映画も観てもらえたらうれしいです。何だったらチケットを渡して、映画館に行かざるおえない状況を作ろうかと思います(笑)。


藤ヶ谷さんが演じた裕一は、客観的にダメな人間だとは思うのですが、映画を観ているとそんな裕一に愛おしさを感じる場面もあります。それはきっと、藤ヶ谷さんが自身の持つ雰囲気も相まって、裕一を一面的ではないキャラクターに作り上げているからだと思います。

舞台版に続き、藤ヶ谷さんにしか表現できなかったであろう裕一を通して、劇場でいろんな感情を受け取ってほしいです。

作品紹介

映画『そして僕は途方に暮れる』
2023年1月13日(金)全国ロードショー