目の前に響矢くんじゃなくて、律が立っているって

撮影/小嶋文子

――本作は約1年間続いてきた「ドラマシャワー」枠では初のオリジナル作品となります。オリジナルだからこそ、自分たちで考えて作れる部分もあったと思うのですが、どのように役作りをしましたか。

本田:人間って生きていく上で、ある程度は外見からイメージが沸くと思うんです。例えば、服に興味があるのかとか、人から見られる自分を気にするタイプかとか。最初はそういうぱっと見た印象でキャラクターのイメージが付くので、その部分は考え、役作りをしました。

律はイラストレーターなのでセンスがいいと思ったんです。だからファッションセンスもいいだろうし、ヘアスタイルも気にしているだろうから、「おしゃれな空気感を出したい」と監督さんやスタッフの方と相談して、髪型や衣装を決めていきました。

©「ジャックフロスト」製作委員会・MBS

――それに対して郁哉は営業マンという役どころでしたが、キャラクター作りはどうしていきましたか。

鈴木:まず原作があるもののときは、原作へのリスペクトを持って演じますし、答えがあるのですが、今回はオリジナルなのでその辺りは自由にできるのかと思ったんですけど、意外とそうでもなくて(苦笑)。

これ以上やったらやり過ぎとか、これだと伝わらないとか、そういう線引きが明確でない分、一つひとつを微調整しながらみんなで作り上げないといけないんです。そこが難しいと感じました。

郁哉のキャラクターに関しては、いい意味でも、悪い意味でも“ザ・普通の人”なんです。本当にどこにでもいそうな人で、けど、そういう人物の方が演じるのは難しいんです。

なので「何で郁哉はこう言ったんだろう?」とか、郁哉に対しての「何で?」を紐解きながら、一つひとつ理由を考えて役作りをしていきました。

©「ジャックフロスト」製作委員会・MBS

――演じる上でお互いに相談することはありましたか。

本田:このシーンはこういう雰囲気でとか、段取りの確認は監督さんを含めてするんですけど、その場で目の前に起きていることに対してそのまま生きてくださいという感じだったので、お互い相談はしないようにしていました。

――鈴木さんは「リハーサルや本読みの際には少し恥ずかしさや照れがあった」とコメントされていましたね。

鈴木:響矢くんのことは、一緒に遊んだり、ご飯に行ったりしたことはなかったですけど、話をしたこともあって知っている存在だったので、最初はそのイメージが強くて。

今回の出演が決まって“律役の本田響矢くん”として会ったときも、私服だったこともあって、そのままの本田響矢くんだったんです。

なのでリハーサルとかでラブシーンのセリフを読んでいても、響矢くんに言われているような感覚もあって「ちょっと照れるな」というのがあったんですが、それがクランクインをして、初めて衣装を着て、あの髪型をした響矢くんを見たとき「あっ、律だ」って。目の前に響矢くんじゃなくて、律が立っているって感じて、ドキッとした瞬間でした。

©「ジャックフロスト」製作委員会・MBS

――本田さんもそういう変化を感じる瞬間はありましたか。

本田:もちろん僕もクランクインしたときには、「郁哉くんだ」って感じたんですけど、そこからさらに律として郁哉くんのことを愛おしいと思う瞬間があると、より康介くんが郁哉くんだと思えました。

郁哉くんが律のために頑張っていたりすると、律ってこういう瞬間を見て郁哉くんのことを好きって思ったんだろうなって感じられて、純粋に「郁哉くんのことが好きだな」って思えました。日々撮影を重ねるごとに、想いは強くなっていきましたね。