出題者と解答者の気持ちが離れすぎないものがいい

河村拓哉 © 文藝春秋(撮影:三宅史郎)

――では今回の本を読まれるみなさんが、日頃から脳を活性化させたいときにやったほうがいいことはありますか。

河村 「誰かにクイズを出したい」と思っているだけで、十分に脳を活性化していますよ。「これ、なんだと思う?」と、答えを隠して他の情報を相手にあげることで、それはもうクイズになるので。

篠原 クイズを考える、答えるという作業は、コミュニケーション能力の一貫ですよね。「どんなものを出したら受けてくれるかな?」という気持ちと、「どこを隠されたら、ほどよくわかりづらいかな?」という駆け引きから成り立つものがクイズですから。

とはいえ、ずっとクイズをやっていた人の問題が必ずしも一番面白いわけではなく、クイズと全然関係ない方が出された問題のほうが盛り上がることも。たとえば、日頃クイズを作っている男性と結婚したまったくクイズに縁のない女性が作った問題のほうが面白かったことがあって(笑)。

河村 目線が新鮮なのがいいんだよね。

『雑学×雑談 勝負クイズ100』(文藝春秋)より

篠原 妻の問題のほうが、クイズプレイヤーの夫の問題より、盛り上がったことがありました。結局のところ、自分が触れないものの情報は、目新しくて興味深い。出題しようとすると、自分が好きなものに限ってしまうから、脳を鍛えるときにはそんなに難しく考える必要もないのかなと。

自分が面白いと感じる問題が思わぬ誰かに刺さることもあれば、空振ることもある。

河村 僕はクイズを出す側は、心がけが大事だと思っていて。クイズが難しければ難しいほど、面白いわけではないことだけわかっているといいのかな、と。

超難問といわれると盛り上がりそうですが、会話としてはそんなに盛り上がらないという(笑)。そんな難問よりも、相手は知ってるだろうし正解できるけど出してみよう、ぐらいの問題を出すといいと思います。

問題を出す側は会話の主導権を握ることになるので、有利・不利で会話を考えがちになるんですが、それはやめておいたほうがいいですね。

『雑学×雑談 勝負クイズ100』(文藝春秋)より

篠原 私は幼少期に、父親にクイズを出すのが大好きだったんですが、答えられるのは嫌いでした。たとえば「アフリカに生息していて、首の長い動物ってなあに?」と問題を出して、父が「キリン」と言うと、「違う」と言うというように。

本当は正解だったとしても、質問の仕方を変えてだんだん難しくしていって、出題する側は相手に答えられないほうが楽しかったから。でも、まったくわからない問題ではなく、ぎりぎり答えられて相手が喜べる問題を出すと、出すほうも答えるほうも双方一番うれしいんじゃないのかなと。

私は宝塚が好きなんですが、観劇していない方もたくさんいらっしゃいますよね? 宝塚からクイズを出す時、同好の士に出すならタカラジェンヌが飼っているペットの名前をクイズにするくらいがたぶん盛り上がるんです(笑)。

でも、解答者の属性がわからない場合は「宝塚の初演の演目は有名な日本の昔話です、さて、なんでしょう? 」みたいなクイズを出すと思います。正解は「桃太郎」なんですが、宝塚をあまり知らなくても、日本の昔話は自分にも馴染みがあるから勘で答えることもできる。さらに、最初は桃太郎から始まったという意外性もある。出題者と解答者の気持ちが離れすぎないものがいいと思います。