いつもの景色が違って見える力がクイズにもある

© 文藝春秋(撮影:三宅史郎)

――では、クイズによって得られる喜びとは、どういうものだと思いますか?

河村 知識が増える喜び、そして会話の幅が広がることかなと。同じことについて、ふたり以上の人たちが考えている、という状況になるので。

篠原 どんなに幅広く勉強しようと思っても限界があるなかで、誰かが作ったクイズ問題は、そのジャンルの凝縮された魅力を伝えてくれるものでもあるんですよね。自分の中で世界に対する解像度が上がると、いろいろなものが面白く見えてくるんですよ。自分ではリーチできない情報をクイズで他の人が出してくれると、「これはクイズで出されていたものだな」と自分の感度も上がって、ただ街を歩くだけでもまわりに気づくことが増えるんです。

河村 以前、ひとつの花の名前を教わって、その時は「ふ〜ん」としか思わなかったんですが(笑)、散歩していたらその花を道でよく見かけるようになって。「そういえば、あのとき聞いた花だな」と、びっくりしました。

篠原 それは「ムラサキカタバミ」だね、道にすごく生えているから。家から駅まで1キロの道のりがあったとして、その1キロという距離は変わらないんですが、知っていることが増えれば、その1キロの楽しさが増えていきます。

河村 こんなふうに、いつもの景色が違って見えるようになる力がクイズにもあって。知識が増えることで、豊かな毎日が過ごせるのではないかと思います。

(取材・文/かわむら あみり)

書籍情報

雑学×雑談 勝負クイズ100
河村拓哉 篠原かをり
2023年7月7日発売
文藝春秋刊 1,430円(税込)

河村拓哉
1993年生まれ。東大発知識集団 QuizKnockの立ち上げから関わるメンバー。東京大学理学部卒業。東大クイズ研OB。Webメディア「QuizKnock」の初期から記事の執筆・編集なども行っている。日本テレビ『頭脳王』では問題作家、QuizKnock主催のクイズ大会「WHAT」では大会長を担当。日本漢字能力検定の準1級で高得点合格、成績優秀者として、協会賞(個人の部)を受賞。YouTubeチャンネル「QuizKnock」の登録者数は200万人を突破。

篠原かをり
1995年生まれ。動物作家。昆虫研究家(専門:昆虫産業)。慶應義塾大学SFC研究所上席所員。日本大学大学院芸術学研究科博士後期課程 在籍中。著書に『LIFE―人間が知らない生き方』(文響社・麻生羽呂共著)、『フムフム、がってん!いきものビックリ仰天クイズ』『よし、わかった! いきものミステリークイズ』(共に、文藝春秋・田中チズコ共著)『ネズミのおしえ』(徳間書店)などがある。TBSテレビ『日立 世界ふしぎ発見!』のミステリーハンター、日本テレビ『嗚呼!!みんなの動物園』の動物調査員など、テレビやラジオでも活動。コラム連載や講演会も積極的に取り組んでいる。

大阪生まれ。出版社勤務後、ライター&編集者として独立。エッセイ本『どうしても、結婚したかった。1000人の男性と出会った私の婚活ラプソディー』(発行:東京ニュース通信社/発売:講談社)2024年4月1日発売。音楽、日本・韓国などのドラマやTV・映画といったエンタメから恋愛・婚活・育児など女性向けジャンルを手がける。公式サイト