それは、高校生のみんなが会場を後にした数十分後、ステージ下にある関係者控室の小さな1室で行われた。

先に部屋に入り、カメラをセッティングする仮面宣伝マン。誰かが来るのを待っているようだ。と、そこに現れたのは……なんと、いまイベントを終えたばかりの荒木剛太こと藤ヶ谷太輔ではないか? そう、ここで、このイベントの翌週に仮面宣伝マンが出演する、南海放送(愛媛)の夕方の情報番組「おかデリ」のための動画メッセージを撮影することになっていたのだ。

仮面宣伝マンが読み上げてもらうメッセージを書いた紙を1枚1枚めくり、藤ヶ谷がその通りに「『おかデリ』をご覧のみなさん、藤ヶ谷太輔です……」と話す。それはほかでは見られないなんとも不思議な光景で、紹介できないのが残念で仕方がない。藤ヶ谷も時折苦笑いを浮かべていたが、お互いにプロとプロだから、収録はアッという間に終了。

本来の仕事もしっかりこなし、次の課外授業の地に向かう仮面宣伝マンだった……。

つづく。

『劇場版 仮面ティーチャー』公開中→[https://kamen-movie.jp/]

 

 

映画ライター。独自の輝きを放つ新進の女優と新しい才能を発見することに至福の喜びを感じている。キネマ旬報、日本映画magazine、T.東京ウォーカーなどで執筆。休みの日は温泉(特に秘湯)や銭湯、安くて美味しいレストラン、酒場を求めて旅に出ることが多い。店主やシェフと話すのも最近は楽しみ。