お次はタネを入れた羊腸をソーセージに成形する作業。
ソーセージ1本分の長さの両端を、指の腹で押して肉を寄せる。押し出されて肉が無くなった部分を軸にして回転をかける。

 

お手本。クルクルッと回すとソーセージに。

 

オレがやると回らない・・・。

何とかゆっくりながら羊腸2本分(6メートル×2本の12メートル)のソーセージを完成させるオレ。

ソーセージって、こんなに手間ひまかかる大変なものだったのか・・・。

ここで杉山さんにバトンタッチ。

 

嘘みたいなスピードでソーセージが形成されてゆく。

 

ドイツでの修行を経てマイスターに。そして殿堂入りへ

全然お手伝いできなくてグッタリな筆者。キビキビとした動作でソーセージを作る杉山さんに生い立ちやドイツでの修行時代、殿堂入りマイスターへの軌跡を聞いてみよう。

店内に飾られたマイスターの称号や、コンクールでの金賞受賞を讃える賞状

1973(昭和48)年生まれの杉山さんは今年で42歳。生粋のハマっ子。
「実は僕は、消防士になりたかったんですよ」と杉山さん。

「学生時代、ブラスバンドでフルートを演奏していて音楽隊に入りたかったのと当時、映画で『バックドラフト』という消防士を描いた映画があってロバード・デ・ニーロに憧れていたんで」

 

看板に描かれたイラストは壮二さんとギターを弾くお父さんがモチーフ

消防士に憧れていたものの実家が精肉店ということもあり、高校を卒業後全国食肉学校(専門学校)に入学。1年後に卒業をし、そのままドイツへと渡ったそうだ。
「母が店でハムやソーセージなどの加工品を作っていた関係で、ツテを頼って(ドイツへ)行っちゃいましたね」

杉山さんのお母さんは、添加物の入っていない、安全安心な食べ物を作ってお客さまに提供したいと願っていたそうで、付き合いのあった香辛料の取引先の方が、杉山さんの師匠の弟弟子だと聞き、息子にドイツ行きを薦めたという。

 

杉山さんとお母さん、そして妹夫婦、パートさん1人で店を切り盛りしている

「英語もドイツ語もまったく分からずに勢いで行ってしまって、毎日殴られる上に給料も出なくって・・・」と杉山さん。

それにしても凄い行動力だ・・・。そしてお母さまの食品に対する想い、熱量も凄い。

 

師匠のハンス・オットー・ブランデンブルグさんと

師匠の店で働き、師匠の家にホームステイ。言葉はハンス師匠の子どもたちと一緒になってドイツ語を習得したとか。

辛い修行を終えゲゼレ(修行を終えたことを表す卒業証書)をもらうまで3年半の月日がかかった。
(このゲゼレ、もらうまでに平均約3年かかるそうで、言葉の分からない杉山さんのことを考えると3年半という年月は驚異的!)