この「ワークライフミックス」のスタイルは、昔は店番にしても農作業にしても赤ちゃんを連れてゆくのが当たり前だったわけですから、古くて新しい取り組みなのですけれども、“子連れ”の力を企業経営に効果的に活かす選択肢のひとつとして、これからも広げてゆきたいですね。

※モーハウスの「子連れ出勤」についてはコチラのインタビューをご覧ください。「復職後のおっぱい、無理にやめなくても大丈夫! 「母乳育児」を続ける大きなメリット|光畑由佳さんインタビュー(4)

――「公共の場での授乳」問題、解決できそうな気がしてきました!「授乳服」って、すごいですね。

光畑:最後の最後にごめんなさい。でも、それは違います。

すごいのは、なんといっても……「ママ自身の力」なのです。

こうやって赤ちゃんをサッと安心させることができるのは、抱っこやおっぱいという「ママ」自身の力。授乳服はそれを、今の世の中に、社会にフィットさせるよう、ほんの少しお手伝いしているに過ぎません。

授乳服を「道」に例えてくれた人がいます。国や自治体が地方と地方を道路でつなぎ、人や物の流れが生まれ、そこから地域社会全体が拡がってゆくように、授乳服がママと社会をつなぐ「道」になるのだと。

授乳服を着ることでママは「道」を得て、「“育児の世界”から“公共の場”へ出かけていって授乳をする」ようになり、社会が徐々に広がって「授乳をし、育児をするその場が社会の一部、つまり“公共の場”になる」のだと。

これも「道」や、ましてや国や自治体がすごいワケではありませんよね(笑)。地方社会と地方社会が分断されてしまっているから、それぞれの力を活かし合う社会ができていないだけですよね。

「“ママ”と“社会”」、「“育児の世界”と“公共の場”」の間の壁がなくなることで、ママは目に見えない“ガラスの天井”を打ち破って“自由”になれるし、社会も「ママの力」を活かすことができる。私たちは、その橋渡しをしたいと思っています。

「Nursing Freedom(授乳の自由)」によって、ひとりでも多くのママと赤ちゃんが笑顔になれますように!そしてママたちの活躍の場が、ずっとずっと広がりますように!!!

【記事企画&取材協力】光畑 由佳(みつはた ゆか)氏 プロフィール

子連れスタイルで子育てと社会を結びつけ、多様な生き方や育て方、働き方を提案するNPO法人「子連れスタイル推進協会」代表理事&授乳服ブランド「モーハウス」代表。産後の新しいライフスタイルを提案し、授乳服の存在を国内に広めてきたパイオニアとして知られる。

社会と授乳、公共の場での授乳についても、自社で実践する「子連れワークスタイル」が国内外から注目され、女性のチャレンジ賞など受賞歴多数。

「暮らしの質」向上検討会など政府関係の有識者会議委員を歴任するほか、2014年に北京で、2016年にペルーで開催された「APEC女性と経済フォーラム」にも参加。内閣府男女共同参画担当大臣表彰(女性のチャレンジ賞)審査員。中小企業経営支援分科会委員。茨城県ユニセフ協会評議員。茨城県行財政改革推進懇談会委員。つくば市行政経営懇談会委員。茨城大学社会連携センター特命教授。筑波大学大学院非常勤講師。

著書に『働くママが日本を救う! ~「子連れ出勤」という就業スタイル~ (マイコミ新書)』。

15の春から中国とのお付き合いが始まり、四半世紀を経た不惑+。かの国について文章を書いたり絵を描いたり、翻訳をしたり。ウレぴあ総研では宮澤佐江ちゃんの連載「ミラチャイ」開始時に取材構成を担当。産育休の後、インバウンド、とりわけメディカルツーリズムに携わる一方で育児ネタも発信。小学生+双子(保育園児)の母。