綺麗でわかりやすい曲に、ほんの少し変わった感じを

── あと、『アレックス』で、不思議なのが曲の出だしでした。あの一番最初のフレーズはどういう意味なんですか? なんか曲の本編に入る前のジングルとかファンファーレのような……。

峯田 ファンファーレじゃねーよ(笑)。ただ、あれはスタジオで考えて入れることにしたの。『アレックス』って曲の構成そのものが、すごいわかりやすいじゃん。

だから、その綺麗でわかりやすいところに、ほんの少しだけ変わった感じを入れたくて、ド頭でああいう変拍子の不思議な展開を入れたの。

── また、この曲はよく聴くと長いですね。普通に聴いている分にはそんなに気にならないですけど、全体で9分強もある。

峯田 アウトロになって曲が終わるかと思いきや、最後の最後でPちゃん(加藤綾太。サポートメンバー・ギター)のソロがずっと続くんだけど、あれは面白くできたと思ってる。

普通、アウトロって8小節くらいで終わるんだけど、『アレックス』は56小節もあるから(笑)。

── あのギターソロがまた耳に残るんですよ。アルバムを聴いていないときも、あのフレーズが頭に響くことがあって。

峯田 良いよねー、Pちゃんのソロ。なんか不思議な感じがする。ただ、これは前にも言ったけど、もしリピート機能でアルバムを聴く人がいたら、あの綺麗な『アレックス』で終わった後、1曲目のノイズに戻るからね(笑)。支離滅裂に感じるかもしれないけどね。

Photo:小境勝巳

どの時代でも聴いてもらえる楽曲を目指した

── 個人的な意見ですけど、今回のアルバムでは、『生きたい』が中島みゆき、『アレックス』がユーミンのような印象でした。特に『アレックス』の後半のコーラスがユーミンっぽい綺麗なハーモニーで。

峯田 『アレックス』はアルバムの中で一番最後にできた曲なんだけどさ、ちょうどこの頃、ユーミンばっかり聴いていたんだ。

特別意識して『アレックス』にユーミンの感じを取り入れようと思っていたわけではないけど、自然にああなっちゃった。

ユーミンのコーラスは確かにすごいよね。だって初期のユーミンのコーラスって当時の凄腕のシンガーソングライターが総動員してるんだよ。山下達郎さん、大貫妙子さん、吉田美奈子さんとかも参加してるくらいだからね。

── そういう意味で言うと、『アレックス』は銀杏流シティポップですかね。

峯田 それはわからないけど、ただ最初にも言ったように、どの時代でもずっと聴いてもらえるような曲を目指したのは本当。特に『アレックス』はね。

それでいて、再生ボタンのイチ押しで「銀杏BOYZ」ってわかるようなもの。色んなアーティストがいる中で「銀杏はこれだ!」みたいなね。そういう音楽になると良いなと思って作ったんだ。

※次回へつづく

●全11回インタビュー:各回更新!

リリース情報

銀杏BOYZ ニュー・アルバム『ねえみんな大好きだよ』

【初回盤】
【通常盤】

10月21日(水)発売
品番:SKOOL-049 価格:3,300円+税

収録曲(全11曲)
01.DO YOU LIKE ME
02.SKOOL PILL
03.大人全滅
04.アーメン・ザーメン・メリーチェイン
05.骨
06.エンジェルベイビー
07.恋は永遠 feat.YUKI
08.いちごの唄 long long cake mix
09.生きたい
10.GOD SAVE THE わーるど
11.アレックス

音楽事務所、出版社勤務などを経て2001年よりフリーランス。2003年に編集プロダクション・デコ有限会社を設立。 出版物(雑誌・書籍)、WEBメディアなど多くの媒体の編集・執筆にたずさわる。エンタテインメント、カルチャー、 乗り物、飲食、料理、企業・商品の変遷、台湾などに詳しい。台湾に関する著書に『パワースポット・オブ・台湾』(玄光社)、 『台北以外の台湾ガイド』(亜紀書房)、『台湾迷路案内』(オークラ出版)などがある。