役者のムロさんと違う演出家の下で共演するのは照れくさかった
――田母神尚樹役のムロツヨシさんと、川合優里役の岸井ゆきのさんの印象を聞かせてください。お二人ともこれまでに共演経験がありますよね。
ムロさんとは10何年も前からお付き合いをさせてもらっていて、パブリックなムロツヨシという俳優さんとしてのイメージと、僕が見てきたムロさんのイメージって乖離しているんですよね。
最初にお会いしたのは役者をやっているムロさんだったんですけど、次に会ったのが(ムロが演出・出演などを手掛ける舞台シリーズ)『muro式』で、演出家であるムロさんと接してきた時間の方が長いので。
ムロさんは狂気も持っている人だし、すごく繊細でもある。だから今回、改めて役者のムロさんと違う演出家の下で共演するのは照れくさかったし、緊張もしました。
――田母神はこれまでのムロさんのイメージとは違った役と言われていますが、そうすると若葉さんの知っているムロさんと近いところもあるのでしょうか。
方向性は違いますけど、同じように狂気は持っているような気がします。そこを吉田さんが面白がって、あの役をムロさんに持ってきたのはすごく理解できます。ムロさんのアンタッチャブルなところを。
一般の方のムロさんのイメージは楽しくて明るいだと思うし、それでいいんですけど、当たり前ですけど、ムロさんも人なのでいろんな面を持ち合わせていて。それがわりと複雑に絡み合ってる方だと思うんですよね。僕にはそういうイメージがあるので、見ていてすごく面白いです。
――岸井さんはいかがでしたか。
岸井さんとの共演は2度目(映画『愛がなんだ』)なんですけど、相変わらず明るくて、抜群の安定力とコミュニケーション能力を発揮していました。僕が持っていないものをたくさん持っている方です。
――若葉さんはそういうのが苦手だったりするのでしょうか。
最低限のコミュニケーションは必要だと思っていますけど、それ以上に明るくしようとかはできないですね。だからその岸井さんの明るさが現場を引っ張っていってくれている感じがありました。
前作でもそうでしたけど、みんなが疲れているときとか、岸井さんの明るさにみんなが救われていたんじゃないかと思います。