似ている部分もあれば、そうでない部分もあって、本当に半々くらい

撮影/稲澤朝博

――直達はどんな人だと思いましたか。

理不尽なことが好きではなく、とても素直でいい子だなって思いました。きれいな心を持っていて、僕もそんな直達に惹かれました。そのきれいさをどれだけ表現できるか考えました。

――自分と重なるところはありましたか。

似ている部分もあれば、そうでない部分もあって、本当に半々くらいでした。自分の想いを言葉に出すところは似ているなと思いましたし、あとはちょっと鈍感なところも(笑)。

逆にあの境遇や周りの環境は違いますし、そこは大きなところですよね。直達は年上の人に惹かれるタイプですが、僕はそうではないので、そこも違いますね。

撮影/稲澤朝博

――演じる上ではどんなことに気を付けましたか。

最初に原作を読ませていただいて、そのあと、脚本が出来上がるまでの時間に、“どんな子なんだろう?”と考えていたんです。その自分の中のイメージにどれだけ近づけられるか、上手く直達という人を汲み取って、どのくらい直達になれるか、ということを気を付けていました。

――直達はみんなの憧れでもある同級生の楓(當真あみ)から好意を寄せられているのに、年上の榊さんに惹かれていますよね。

すごく直達らしい鈍感さだなと(笑)。楓がかわいそうだなとは思っていました。

©2023 映画「水は海に向かって流れる」製作委員会 ©田島列島/講談社

――もし大西さんが直達の友達だったらどうしますか。

「もったいないな」と声をかけるとは思いますけど、直達が榊さんに惹かれているのであれば、それはそれでいいとは思います。望みは薄いのかもしれないけど(笑)、応援はします。

――直達の恋心には共感できますか。

同じ年のほうが気を使わなくて済むからそっちのほうがいいなと思います。僕自身は年上の方にそういう恋愛的な憧れは抱かないので、共感はしないかも(笑)。

――では、演じる上で、直達はなぜ榊さんに惹かれたと思っていましたか。

榊さんってちょっとつかめないところがあると思うんです。ツンツンしているかと思えば、料理を振る舞ってくれたり。そういうところに惹かれたんじゃないかと思いいました。わからないことって知りたくなりますよね。

©2023 映画「水は海に向かって流れる」製作委員会 ©田島列島/講談社

――そんな榊さんを演じる広瀬すずさんとの共演はどうでしたか。

以前からいろんな作品で見ていて、表現が素晴らしいし、本当にすごい方だと思っていましたが、実際に生で見たらもっとすごかったです。一緒にお芝居をしていて圧倒される感覚があって、気が抜けませんでした。

けど、役じゃないときはすごく明るくて気さくな方で。僕が学生なので学校の話をしたり、大人になったらこうなるよってこととかを話してくださったり、とても話しやすかったです。