高良健吾からのアドバイスは「僕の人生にとって重要な言葉」

撮影/稲澤朝博

――演じていて印象に残ったシーンは?

たくさんあります。みんなでバーベキューをするシーンはすごく楽しかったし、榊さんが作ってくれるご飯もめちゃくちゃ美味しかったです。

©2023 映画「水は海に向かって流れる」製作委員会 ©田島列島/講談社

――どれが一番美味しかったですか。

ポトラッチ丼は衝撃的に美味しかったです(笑)。びっくりしますよ。味付けはシンプルなんですが、いいお肉を使っているので。(劇中での)榊さんの作り方は乱暴ですけど、本当に美味しいです。

あと、カレーに生卵を入れるシーンもあったんですけど、僕は、カレーに生卵を入れたのが初めてで。味がマイルドになってめっちゃ美味しくて、新発見でした。

――直達と榊さんの海でのシーンはとても素敵でしたが、真冬の1月に撮影されたそうですね。

本当に寒かったです。でも水が冷たいのなか?と思っていたら、意外に温かくて。水温より気温の方が低かったみたいです(苦笑)。

水を掛け合うと濡れてしまうので、1回しか撮影のチャンスがなくてドキドキしていましたが、出来上がったものを観てみたらいい感じになっていたのでうれしかったです。大まかな動きだけ決めて、あとはカットがかかるまで広瀬さんとワイワイしてました。

――直達が榊さんに対して自分が思っていることを泣きながら伝えるシーンでは、苦戦した部分もあったとお聞きしました。

そのシーンは最初に脚本を読んだときから、直達にとっては一番重要な場面だと思いましたし、物語全体から見ても榊さんの感情に関わるので重要だと思っていたんです。

それがわかっていたからこそ考えて過ぎてしまったのと、「自分にできるかな?」という感情が沸いてしまったんです。知らぬ間にプレッシャーを相当感じていたみたいで。そう思ってしまったことが苦戦した原因の一つだったのかなと思います。

――そこからどのように切り替えたのですか。

結果的にそのシーンは1日では撮れなくて、翌日撮り直すことになったんですけど、結構、自分の中では落ち込んでしまって。そのときに、監督や(直達の叔父の茂道役の)高良(健吾)さんから励ましの言葉をいただいて、そこで切り替えられました。すごく温かくてありがたい言葉でした。

それで次の日はあえて何も考えないで現場に行きました。前日にやっているから、セリフを間違える心配もなかったし、何も気にせずにありのままの自分で直達になれたんだと思います。

©2023 映画「水は海に向かって流れる」製作委員会 ©田島列島/講談社

――高良さんからは具体的にどんな言葉を?

それは言えないです。企業秘密でやらせてもらっています(笑)。

――(笑)。では、その言葉で気持ちがどんなふうに変わったのかを教えてもらえますか。

先ほども言いましたが、明日もやるって決まったとき、本当に落ち込みました。これまでそんな経験はなかったので、ヤバイな……っていう焦りと不安とで気が重かったんです。そんなときに高良さんが声をかけてきてくださって、話をしていたら、肩の荷が下りたというか、そんなに考える必要なかったし、重く捉え過ぎてたんだなって思えたんです。

上手くいかなったのはもう仕方ないし、次の日というチャンスがあったので、そこに向けていこうという気持ちになれました。本当に一気に気持ちが軽くなれたんです。それはもう(作品としてだけではなく)僕の人生にとって重要な言葉だったと思っています。

撮影/稲澤朝博

――共演者としての高良さんの印象は?

役そのままというか、撮影以外のときでも茂道おじさんと話しているような感じでした。すごく面白いし、話しやすかったです。歳は離れているんですが、それをあまり気にせずに楽しく話せました。

僕は食べることが好きなので、食べ物とか、美味しいお店の話をよくしていました。僕の家の近くにすごく美味しい焼肉屋さんがあって、「そこに行きたいんだよね」とか。