子どもたちのエネルギーに助けられている

ミュージカル『スクールオブロック』より

――開幕が近づき、お稽古も佳境に入った頃かと思います。この段階だから見えてきた、作品の魅力などについてお聞かせいただけますか?

西川 やっぱり子どもたちですよね。今回のキャストには、舞台経験のある子役の子たちと音楽をやってきた子たちがいて、最初はその差が結構あったんです。舞台経験のない子たちは、お芝居になるとちょっと気恥ずかしそうにしてたり、声が小さかったり。

柿澤 そうでしたね。

西川 でも鴻上さんの演出を受けてみんなどんどん成長して、最初の頃と今では、お猿さんが立派な役者さんになったくらい違う(笑)。人間ってすごいなあと思いますよ。

柿澤 それにみんな、本当に楽しそうですよね。この時期になると通し稽古も増えてどうしても疲れてエネルギーが枯渇するんですけど(笑)、彼らにはそれが全くない。常に100%エネルギーがあるし、全部出し切ってもすぐに回復する。

西川 失敗を恐れないところもすごいよね。我々大人は、ダメ出しされたくないから目立たないようにしとこ、とか思っちゃうけど(笑)、みんな何か聞かれたら「ハイ!」って手を挙げるし、ダメ出しされても気にしないどころか、そもそも聞いてなかったりしますから(笑)。

柿澤 そんな子たちが24人もいるから稽古場は騒々しいんですけど(笑)、彼らからエネルギーを分け与えてもらっている感覚が僕にはあって。しんどいシーンも、子どもたちと一緒だと自然と全力でできたりするので助けられてるなあとつねづね思います。

ミュージカル『スクールオブロック』より

――子どもたちのエネルギーはやはり、大きな見どころになりそうですね! では、音楽の魅力についてはいかがでしょうか。

西川 ロイド=ウェバー作品ということで、複雑なコード進行を使ってたりするんじゃなかろうかなんて、最初は勝手に思っていて。

でもこの作品においては、すごくシンプルだよね? メジャーのCとGだけで構成されてます、みたいな曲もあるし、オーケストレーションもドラムとギターとベースだけ、みたいな感じだし。

柿澤 そうですよね。僕もきのう初めてバンドと合わせてみて、改めてシンプルでストレートだなと思いました。僕が出演してきたほかのロイド=ウェバー作品とまた違う印象です。

西川 ああやっぱり。シンプルなのに、上に乗ってるメロディーによって“聴かせる”ことができちゃうのが、ロイド=ウェバーのすごさなんだろうなと思います。

柿澤 あと単純に、すごく乗りやすいですよね。聴いてて「難しそうだなあ」って感じる曲がデューイにもほかの役にもあんまりない。実際歌うとキーが高くて難しいんですけどね(笑)。

西川 たっかいよね! これだけミュージカルやってる人が言うんだから間違いない(笑)。

柿澤 西川さんからしても高いですか?

西川 あのね、週末だけ歌えばいい、ってことなら全然頑張れるんですよ。でも今回は、毎日だから。正直、あんまりミュージカル向きではないんじゃないかと思ってる(笑)。これは歌だけじゃなくて、台詞とも関わってくる問題だよね。

柿澤 うんうん、本当にそう思います。

西川 デューイはずっとテンションが高いというか、台詞で盛り上げて歌に辿り着いて台詞に戻ってくるみたいな波形がなく、ずーっと下りてこない人(笑)。そこが大変なところなんだと思います。ふたりとも、1公演終わるごとにぐったりしてそうですね(笑)。

上:チーム・コード、下:チーム・ビート

――熱い夏になりそうですね(笑)。最後に、今までのお話で出てこなかった見どころなど含め、読者の皆さんにメッセージをお願いします。

西川 子どもたちはもちろん、ほかのキャストの皆さんも本当に素晴らしいです。

めぐさん(濱田めぐみ)の歌はやっぱりさすがですし、ネッド(梶裕貴・太田基裕)とパティ(はいだしょうこ・宮澤佐江)はWキャストでカラーが全然違って面白い。ぜひ色んな組み合わせでご覧いただきたいですね。

柿澤 僕はそうですね、本当に夏にぴったりの作品だなと。生きていると、イライラしたりむかつくことっていっぱいあると思うんですけど(笑)、そういうストレスを発散できる作品。

ここまでライブ感覚で一緒に盛り上がって弾けられるミュージカルってなかなかないんじゃないかな。

西川 そう、コロナもあったしね。

柿澤 ガンガンのロックと、子どもたちのピュアなエネルギーが劇場に充満すると思うので、そちらも是非楽しみにしていただけたらと思います。

公演情報

好評発売中

ミュージカル『スクールオブロック』

音楽:アンドリュー・ロイド=ウェバー
脚本:ジュリアン・フェロウズ
歌詞:グレン・スレイター
日本版演出・上演台本:鴻上尚史

出演:
デューイ・フィン役:
西川貴教/柿澤勇人(Wキャスト)
ロザリー・マリンズ役:
濱田めぐみ
ネッド・シュニーブリー役:
梶裕貴/太田基裕(Wキャスト)
パティ・ディ・マルコ役:
はいだしょうこ ※/宮澤佐江(Wキャスト)

阿部裕、神田恭兵、栗山絵美、多岐川装子、俵和也、丹宗立峰、
ダンドイ舞莉花、中西勝之、西野誠、湊陽奈、安福毅 (五十音順)
スウィング:AYAKA、森内翔大
※はいだしょうこ:ロザリー・マリンズ役カバー

■チーム・コード
小川実之助:ローレンス(キーボード)
桑原広佳:マーシー(コーラス)
飛田理彩子:ケイティ(ベース)
中込佑協:メイソン(技術:ステージエンジニア)
中嶋モモ:フレディ(ドラム)
平岡幹基:ジェイムズ(警備:セキュリティ)
前田武蔵:ビリー(衣裳:スタイリスト)
真木奏音:ソフィー(ローディー:楽器セッティング・運搬)
三上さくら:トミカ(ボーカル)
三宅音太朗:ザック(ギター)
宮﨑南帆:ショネル(コーラス)
山崎杏:サマー(マネージャー)

■チーム・ビート
大久保実生:トミカ(ボーカル)
加藤悠愛:ソフィー(ローディー:楽器セッティング・運搬)
木村律花:ショネル(コーラス)
熊田たまき:ローレンス(キーボード)
後藤日向:ザック(ギター)
佐藤凌:ビリー(衣裳:スタイリスト)
シーセンきあら:マーシー(コーラス)
中川陽葵:サマー(マネージャー)
三宅音寧:ケイティ(ベース)
村井道奏:フレディ(ドラム)
宮島伊智:ジェイムズ(警備:セキュリティ)
屋鋪琥三郎:メイソン(技術:ステージエンジニア)
※五十音順

【東京公演】
2023年8月17日(木)~2023年9月18日(月・祝)
会場:東京建物Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)

【大阪公演】
2023年9月23日(土・祝)~2023年10月1日(日)
会場:新歌舞伎座