いろんなものを背負って、気を遣っていてくれた

撮影/稲澤朝博

――今回ご一緒してみて、役者としての岸さんはどうでしたか。

天然とは聞いていましたが、「ここまで天然とは」と思うこともあり(笑)。でも瞬発力がすごくあって、これまでにない経験もさせてもらった気がします。岸優太と門松勝太というキャラクターが近かったから、より一層リンクしたのかなとも思います。

――岸さんの座長らしいエピソードはありますか。

本人自ら「座長らしいことを全くしなかった」と言っていたので、僕もそう言ってあげた方がいいのかもしれないけど、この作品の撮影だけでなくいろんな仕事をやりながらで、本当に大変だったと思いますが、現場では辛い表情一つ見せずにやっていました。

クライマックスのアクションシーンも、僕らは場面ごとに出てくる感じですけど、岸くんはずっと出ているから、夜中まで撮影をしていて。それでも嫌な顔一つせず、明るく、楽しそうにやっていたので、それだけでも周りのみんなの救いになっていたと思います。

「座長らしいことは全くしてない」とは言いながらも、やっぱりいろんなものを背負って、気を遣っていてくれたんじゃないかと思います。岸くんは率先して引っ張っていくような座長というよりは、愛されて、応援したくなるような座長でしたが、僕はみんながツッコめる主役って素敵だなって思いました。

©2023「Gメン」製作委員会 ©小沢としお(秋田書店)2015

――梅田真大役の森本慎太郎さんの印象も教えてください。

見た目からもう全くもって普段の森本くんではないですからね。すごく楽しそうにやっていたと思います。岸くんと森本くんは普段はもっとキラキラしている場所にいると思うんですけど、現場ではすごく人間味を感じました。みんなから愛される人間力がありますね。

あと、G組のグループLINEがあって、今はほぼ解散したかのように動いていないのですが(笑)、それを撮影中はこまめに動かしてくれていました。

――G組の5人の配役は絶妙でしたね。

正直、僕で良かったのかな?という部分はありますけど(苦笑)。もう少し面白キャラじゃない方向で演じたほうが良かったんじゃないかと。インタビューでは「二枚目の役がやっと来た」と言い続けていますけど、僕は僕なりに「僕でいいんですか?」という戸惑いもあったんです。

――でもそんな竜星さんに、瑠東監督はさらに面白さを足すようにお願いしていたんですよね。

「最近、そういう竜星を見てないから」みたいな想いもあったようで。ありがたい限りです。

撮影/稲澤朝博

――雨宮瞳役の吉岡里帆さんとのやり取りもとても面白かったです。

吉岡さんとはちょうど舞台(劇団☆新感線「いのうえ歌舞伎『狐晴明九尾狩』」)でご一緒しているときに、今回の出演オファーがあったので、僕からも「絶対に面白いから出てよ、面白いことをやろうよ」と声をかけました。それが叶っての共演になりました。

――瞳から瀬名が思いっきりビンタをされるシーンもありましたよね。

段取り、テスト、本番と一切力を緩めることなく、彼女は僕にビンタをしてきましたね(笑)。女優魂を感じました。最終的には「俺に恨みでもあるのか?」という気持ちもよぎりましたけど(笑)、僕からも「どんと来い!」って言っていたので、それに応えてくれた気持ちのいいビンタをしてくれました。

現場はいつでも笑いが起きていたんですけど、特に岸くんと吉岡さんと僕との3人のシーンは多かったですね。岸くんと吉岡さんが何かにハマってしまって、笑いが堪えられずに撮影が永遠に終わらないと思うこともありました(笑)。

途中から、僕の顔が面白いとか言い出して。僕はただセリフを言っているだけなのに二人とも笑うんです。けど、それをスタッフさんも笑ってくれて、本当にいつも賑やかないい現場でした。