市場の屋台を冷やかしたあと、路地裏の大衆酒場へ
仁王市場の屋台のスンデ(腸詰)の盛り合わせ
仁王市場の北側の一角には、スンデクッ(腸詰のスープ)、手打ち麺などの看板を掲げた屋台が集まっている。
平日の6時、マッコリや焼酎を楽しむおじさんたちの笑い声が響いている。
仁王市場の屋台のスンデクッ(腸詰のスープ)
2018年にこの市場を歩いたとき、路地裏に高齢者たちが集う飲み屋があったのを思い出した。女将の年齢やここ数年の世相を考えると、そのままの姿で残っているとは限らなかったが、杞憂だった。
その店「チェ・ウネ スンデクッ」は、まるでコロナ禍などなかったかのようにそこにあった。赤字でスンデクッ、青地でシクサイルチョル(食事一切)と昔風に書かれた看板も以前と変わらず。
引き戸を開けると、6年前と同じようにおじいちゃん、おばあちゃんの酒盛りが行われていた。
その日は雨。朝晩少しずつ秋の気配が感じられるようになっていたので、白身魚の辛い鍋を頼む。酒はマッコリ。
隣席の客に躊躇なく話しかけてきたり、「これを食べてみろ、飲んでみろ」と言ってきたりする酔客はソウルでは絶滅しているかと思ったが、そんなことはなかった。
おじいちゃんおばあちゃんと一緒に、幼稚園児のようにケラケラ笑っているうちに、すっかり酔っぱらってしまった。
ドラマや映画ではキラキラな面ばかり目立つが、ソウルはいい街だ。こんな酒場が、こんな酔客がまだ残っている。
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