自然や災害について、ママが知ること・備えることで家族の未来は変えられる

かもん:災害は自然のできごとで、いつどんなことが起こるか分からないので、残念ながら「正解」ってない。あるのは「できるだけのことはやった」という自分なりの納得だけなんですよね。以下の3つのステップに分けて考えるとスムーズです。

1.敵(相手)を知ること

かもん:揺れやすさ、津波、浸水、土砂災害、液状化といった災害を示すハザードマップを市役所や市のホームページなどで入手し、自分の住むエリアの危険を知ること。併せて土地の成り立ち(昔は海だったとか)や地盤、地形などもネットで検索して調べておくといいと思います。

2.自分たちが災害と戦う場合の「実力」を考えておくこと

かもん:全員大人の男性、という家族構成と比べて、自分の家族はどこが弱点になるのか?

例えば赤ちゃんがいる、アレルギーの子がいる、足が悪い高齢者がいる・・・そういった場合には、ミルクがいる、代替品が効かない、歩くのが遅くなるから早く避難する必要があるなど、あらかじめ考えておかなくてはいけないこと、用意しなくてはいけないことが増えるわけです。

――自分の家族にどんなことが起きるのかをリアルに想像するには、かもんさんが出されている『ママのための防災ブック』のような、自分の家と同じような家族構成の人たちの被災体験談を読んだりするのも有効ですね。

かもん:いまいろいろな被災地で起きていることがオンタイムでニュースになっていますね。あれをぜひ、他人事ではなく「自分たちにも起こりうる未来図」として見ておくことをおすすめします。

そして、1を知り、2を考えた上で、1と戦うにあたり2だけでは足りない力を補うために、

3.武器=防災グッズや備蓄を準備すること

かもん:「防災ママカフェ®」でもお話しているのですが、防災リュックは女性が持てる量(約10キロ)に厳選してまとめ、「家族が安心できるもの」を入れてくださいとお願いしています。

例えば子どもは非常時だろうと、まずいもの、食べ慣れないものは食べることができません。食べると元気が出るもの、好物を入れておきましょう。

準備するのはモノばかりではありません。子どもには心構えもしっかりと教えておきましょう。例えば日頃から地震や地球の仕組みを紹介する絵本を一緒に読んでおけば、いざ地震が来た時に必要以上に怖がらせなくて済みます。

「地震の揺れがなぜ起きているのか?」「揺れが永遠に続くワケではない」ということを知っていれば「もうちょっとしたら揺れなくなる」と待つこともできますから。

実際に「防災ママカフェ®」に参加してくれた後に熊本地震や大阪北部地震を体験されたママとお子さんが多数いますが、こうした話を知っていた子はパニックにならずに済んでいます。

「備災」=ママの愛情。家族の笑顔のために、いまできることを!

かもん:「これからのことを考えると、不安なことばかり。でもおっぱいを飲んでいる子どもの顔を見ていると力が出てくる。この子のためにも頑張らないと」

これは熊本のママの被災時の声です。ママが赤ちゃんにおっぱいを与えることで、ママの心に不屈の闘志が湧いている。

――そう、私たちはママとして守りたい命があり、怖がってばかりはいられません!

かもん:はい、その通りです!

次々と災害に見舞われる「自然災害の国・日本」で子育てをするすべてのママたちに、正しい知識を持ち、正しく自然を畏れ、自分や大切な人の命を人任せにしたり、いまできることを後回しにせず、いまできることを“備災”していただきたい。ぜひ全国で開催されている「防災ママカフェ®」にも親子で遊びに来てくださいね。

【取材協力】かもん まゆ氏

東日本大震災の際、被災地のママと子どもたちへの物資支援活動を機に200人を超える東北ママたちの協力のもと「あの日、ママと子どもたちに何が起こったのか」をまとめた『ママのための防災ブック』を企画制作し、未災地のママたちに伝えるワークショップを開始。

現在、(一社)スマートサバイバープロジェクト特別講師として「ママが知れば、備えれば、守れるいのちがある」を合言葉に「防災ママカフェ®」を全国で展開。全国200カ所およそ12500人(※)の方々に、誰にでも分かりやすく、心に響く「ママ語」で、自分と大切な人のいのちを守る方法を伝えている。講演、メディア取材多数。(※2018年9月現在)

 2016年4月に起こった熊本地震では「離乳食炊き出しプロジェクト」のほか、乳幼児ママへの細やかな支援活動を通じ、100人を超えるママの声を集める。

地域自主防災組織や地域住民の方々も多数参加される「防災まちカフェ」、小学校単位で実施する「防災子どもカフェ」、そして「大地震が来る前に、今あなたができること~自分と大切な人のいのちを守るために~」などの演題での講演、フォーラム出演、「防災ママカフェ®に見る、最高の自発の創り方」「防災まちづくりから考える、今ヨノナカに求められている力」などの行政や企業向け研修も実施している。

15の春から中国とのお付き合いが始まり、四半世紀を経た不惑+。かの国について文章を書いたり絵を描いたり、翻訳をしたり。ウレぴあ総研では宮澤佐江ちゃんの連載「ミラチャイ」開始時に取材構成を担当。産育休の後、インバウンド、とりわけメディカルツーリズムに携わる一方で育児ネタも発信。小学生+双子(保育園児)の母。