バンドアレンジの頃はもっと破滅型だった歌詞

── ポップでキラキラしてるように聴こえる『GOD SAVE THE わーるど』も歌詞をよく聴くと、何か淀みの中から希望を求めるような内容ですね。

峯田 ライブでやってた頃は、もっとわかりやすい破滅型だったんだけどね。「あなたを殺して、僕もすぐ行くよ」みたいな。「恋人同士が車の中で練炭自殺する」みたいな内容で。

ただ、新型コロナウイルスの感染拡大が起きて、何か言いたいこととか伝えたいこともちょっと変わってきて。もともとあったテーマは変わらないんだけど、より今の時代に合うように。それで変えたんだ、歌詞を。

例えばこの曲の〈ポストトゥルース〉って言葉だけど、今はとりあえずみんなニュースに浮かれたがる傾向があるでしょ。

前に話した菊地直子さんの話(第6回参照)もそうだけど、何か一つニュースを捕まえてさ、「あいつが不倫したらしい」「叩け叩け」ってなって、その真実とかはどうでも良いみたいな。それで一週間くらい誰かを叩いて浮かれたら、「はい、そろそろ次のニュース!」みたいになって、また何かを叩いて浮かれるっていう。

ただ浮かれるためにやってることだから、その真実とかはどうでも良いのかもしれないけど、ただ、そこで攻撃されたり、息を潜めて17年間も過ごしてた人のことを思うと僕はたまらなかった。だから、そういう人にとって、ほんの少しだけでもこの曲で希望に繋がることがあったら良いけどね。

Photo:小境勝巳

── 『ぽあだむ』のような?

峯田 うん。歌詞の情報量的にも、打ち込みという点でいっても『ぽあだむ』とほとんど一緒だね。

── ただ、正直言うと、アルバム収録曲の中ではこの曲が一番斬新で、良い意味での違和感を感じました。意外とこれまでの銀杏BOYZにはなかった80年代のニューウェーブみたいな感じで。

峯田 そうかもね。今回のアルバムの収録曲11曲の中では、一番思い切った楽曲だしね。

まぁでも、『生きたい』に続く曲で、アルバムのラストの曲と挟むのはやっぱりこの曲しか考えられなかったな。〈すべてのことが起こりますように〉〈願いをかけて 呪いをといて〉っていう。

※次回へつづく

●全11回インタビュー:各回更新!

リリース情報

銀杏BOYZ ニュー・アルバム『ねえみんな大好きだよ』

【初回盤】
【通常盤】

10月21日(水)発売
品番:SKOOL-049 価格:3,300円+税

収録曲(全11曲)
01.DO YOU LIKE ME
02.SKOOL PILL
03.大人全滅
04.アーメン・ザーメン・メリーチェイン
05.骨
06.エンジェルベイビー
07.恋は永遠 feat.YUKI
08.いちごの唄 long long cake mix
09.生きたい
10.GOD SAVE THE わーるど
11.アレックス

音楽事務所、出版社勤務などを経て2001年よりフリーランス。2003年に編集プロダクション・デコ有限会社を設立。 出版物(雑誌・書籍)、WEBメディアなど多くの媒体の編集・執筆にたずさわる。エンタテインメント、カルチャー、 乗り物、飲食、料理、企業・商品の変遷、台湾などに詳しい。台湾に関する著書に『パワースポット・オブ・台湾』(玄光社)、 『台北以外の台湾ガイド』(亜紀書房)、『台湾迷路案内』(オークラ出版)などがある。HP(http://deco-tokyo.com/